額に傷を持つ2人~不死鳥の騎士団~終④~ハリー･ポッター (ページ4)

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ダ｢君達の学友じゃが、昨夜の事件でいつまでも残るような傷害を受けた者は誰もおらん。Aの瞳は別じゃが。安心したじゃろう｣

私とハリーは、｢良かった｣という言葉が出なかった。

私とハリーのもたらした被害がどれほど大きかったかを、ダンブルドアが改めて思い起こさせようとしているかのような気がしてならない。

ダンブルドアが、初めて私とハリーを真っ直ぐみるのに、私たちは目を逸らした。

ダ｢マダム･ポンフリーが手当をしておる。ニンファドーラ・トンクスは、少しばかり聖マンゴ病院で過ごさねばならぬかもしれんが、完全に回復する見込みじゃ｣

私は、空が白みはじめ、明かるさを増してきた絨毯に向かって頷くしかしなかった。

これ以上、私と関わることを決して心が許さなかった。

ダンブルドアと私とハリーが、いったいどこに居たのか、どうして怪我人が出たのかと、部屋中の肖像画が、ダンブルドアの一言ひとことに聞き入っているに違いがいない。

「A、ハリー、気持ちはよくわかる」と、ダンブルドアがひっそりと言い放つ。

「わかってなんかいない」と、ハリーの声が突然大きく、強くなる。

感化されるように私も焼けるような怒りが突き上げて来る。

ダンブルドアは私達の気持ちなんかちっともわかっちゃいない。

「どうだい、ダンブルドア？」と、フィニアス・ナイジェラスが陰険に言う。

フィ｢生徒を理解しようとするなかれ。生徒がいやがる。連中は、誤解される悲劇のほうがお好みでね。自己憐憫に溺れ、悶々と自らの────｣

ダ｢もうよい、フィニアス｣

私とハリーは、頑なにダンブルドアから背を背け、窓の外のクディッチ競技場を見つめた。

シリウスが、あそこに現われたことがあった。私とハリーの活躍ぶりを見ようと、毛むくじゃらの真っ黒な犬になりすまし。

きっと、両親と同じくらい上手いかどうか見に来たのだろう────そのことは一度も確かめることはできなかった。

ダ｢君達の今の気持ちを恥じることは無い。それどころか────そのように痛みを感じることができることが｣

『君達の強みだ、なんて言うんだ。こんな強み、欲しくもなかった』

白熱した怒りが身体の内側を広がっていく感じがした。

恐ろしい空虚さの中に炎が燃え、落ち着きはらって虚しい言葉を吐くダンブルドアを傷つけてやりたいという思いが膨れ上がる。