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尾｢···お前のそういうとこ、俺は意外と気に入ってる｣
いきなりを何を言い出すかと思えば、そんなことを口にする。
『やめてよ尾形、気味悪い』
冗談ぽく笑いながらそういうと、尾形はまた無表情に黙り込む。
聞こえてくるのは煙を吐き出す音だけだ。
そう、僕は任務を優先する。だけど、悲しくないわけじゃない。
僕だって確かに育ての軍曹が亡くなって悲しいのだ。でも、今は任務を優先しなければいけない状況下だ。
僕がここを離れて葬式に行ってしまえば、何が起こるのかは目に見えている。
僕はここにいるべきなのだ。それが正しい答えで、僕はそれに従わなくちゃいけない。
『···切磋琢磨ねぇ。』
尾｢？なんだ？｣
フッーと煙を吐き出して、最後の一口にして地面で踏み潰すと不意にそんな言葉が出てきた。
『陸軍士官学校にいた時、嫌という程に習った言葉だよ。部下の命を背負えと···』
晴れて将校になれた訳だが、さほど嬉しくもなかった。
少尉になったことで僕の身にはたくさんの命が預けられた。それがどんなに大変か尾形は知ろうともしないだろう。
戦場で次々と死に絶える仲間を背負わなきゃならんのか。
戦争が終われば軍人も辞めるつもりだったのに。
尾形はそれから何も言わなくなり、それを区切りとして僕はその場から去った。
尾形を見た訳では無いけれど、僕を見ていたのは何となく感じた。
明治40年1月。寒さが最高潮に達する頃合い。
橋本軍曹が亡くなって数週間が過ぎたかと思えば、もう年を越していた。
少尉になってからの仕事も何となく慣れてきた。
月島軍曹と一緒の日々だが何ら不満もなかった。なんたって身の回りの世話は月島軍曹がもうやってしまうのだから。
隊服だって変わった。棒状のものが幾つか着いている隊服だ。鶴見中尉とよく似たやつ。
何も変わらない日々。そして何も入れ墨の囚人のことはピタリと聞かなくなった。
それに加えて、僕の中には橋本軍曹のことが違和感でぐるぐると渦巻くばかりだ。
月｢────手が止まってますよ。A少尉｣
『あ、うん。ありがとう月島軍···じゃなくて月島』
慣れずに月島軍曹と呼んでしまえば、彼は大層嫌な顔をするものだから、僕は頑張って月島と呼ぶ。
月｢···育ての軍曹のことですか？｣
彼は僕を見る訳では無いけれど、書類に目を通しながらそんなことを言った。
『うん、違和感しかないんだ』
真面目に返事をし、月島の顔を色を伺うと彼は顔色一つ変えない。
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プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は尾形百之助オチですか？できれば尾形百之助オチでお願い出来ますか？あと尾形百之助を死なないで欲しいです。お願いします🙏続き頑張って下さい。応援してます。 (2022年12月14日 5時) (
レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
霧雨 - すごく好みです！ (2020年12月12日 12時) (レス) id: edd0868c2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おにぎり食べたい | 作成日時：2020年11月22日 22時
