25 ページ25
翌朝、何とも目覚めの良くない朝。
朝早く目を擦りながら、サッサと着替えて、良くもなく晴れてもいない空を眺めて、気分が下がる。
すると、雨が降り出し、それまた気分が下がってしまう。
やはり天気の善し悪しで僕の気分も変わるようだ。
今日は遅めに朝食を1人で取るものだから、食堂は席がいっぱいで、空いてる席を見つけては、サッサと食べようと口に頬張る。
それにしても、2万貫。とてもと言い表せないほどの大金。今の段階でどれほどの勢力があるのだろう？
勢力が多いほど、僕ら第1師団の横取りは困難になってしまう。第7師団だけなら未だしも···。
『ふむ···』
また思案するようにして一点を見つめると、遠くの方でコツコツと歩く音が聞こえる。規則正しく心地のいい音。
その足音が数秒前、僕の目の前で止まったような気がした。
慌てて目の焦点を合わせて、その足音の主を見上げるように間抜けた顔を上げた。
『あ···』っと声になるのを押し殺して、僕は平然を装いながら''鶴見中尉''を見上げる。
『何か御用でしょうか？鶴見中尉』
鶴｢二条上等兵、この後私の部屋に来てくれないか｣
この微妙な空気の違いに、気付き、そこはかとなく｢はい｣と返事をすると鶴見中尉はクルリと方向を変えて行ってしまう。
昨日のことがバレたのだろうか？いや、あそこは執務室からは見えないはずだし、あんまり考えすぎてボロを出すのは良くない。
『ううーん···』
いや、でもなぁ、気になるしなぁ。
月｢さぁ、ほら。鶴見中尉に呼ばれたのでしょう。それよりも鶴見中尉を待たせないように早く食べてしまいなさい｣
僕の一連の行動を流れたのかどこからともなく月島軍曹は現れてはそんなことを口にし、そそくさと食堂を出る。
いやいやいや、月島軍曹は僕のお母さんか。
そんなことを我ながら思い、クスクスと思い出し笑いをする。
月島軍曹にも言われたので黙々と食べ進めて皿を綺麗にし、急いで受付に皿の乗った盆を持っていく。
服の襟を正し、シャキッとして鶴見中尉の執務室へと向かう。
そして目の前まで来た。部屋をノックして許しをもらい部屋の中へ入る。
5歩ぐらい歩いて、シャンとした姿勢で鶴見中尉を見る。
雨が降る空をバックにした鶴見中尉の表情はちゃんと伺えないが、どこか悲しそうで、またどこか喜びに満ちていたのは事実僕に見て取れた。
『鶴見中尉、僕に何の用でしょうか？』
鶴｢うむ、二条上等兵。君に話があってな···｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は尾形百之助オチですか？できれば尾形百之助オチでお願い出来ますか？あと尾形百之助を死なないで欲しいです。お願いします🙏続き頑張って下さい。応援してます。 (2022年12月14日 5時) (
レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
霧雨 - すごく好みです！ (2020年12月12日 12時) (レス) id: edd0868c2a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おにぎり食べたい | 作成日時：2020年11月22日 22時
