ヤドリギの花かんむりを君に。 (ページ21)

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対ファフニール１ページ21

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そこは岩だらけの会場だった。

周りには全校生徒と教員たち。

Aが姿を表すと、大きな歓声が上がった。

笑顔で手を振る彼女の目は
大きなドラゴン、ファフニールを捉えていた。

そしてファフニールもまた
ギロリとAを睨みつけている。

『思っていたよりずっと大きいのね…』

先ほどまで余裕を見せていた彼女も
ファフニールの迫力に圧倒される。

『いい子ね…その卵を渡してくれない？』

が、ファフニールは鳴きもしないまま
いつこの女を食ってやろうかと
タイミングを見計らっているようだった。

Aが杖を取り出し、素早く振った。

『ステューピファイ！(麻痺せよ)』

しかし、その呪文は

ファフニールの硬い鱗に跳ね返り
バチッと音を立てて地面に打たれた。

それを攻撃の合図ととったのか
ファフニールは伏せていた体を起こし、その大きな口から強烈な炎を吐き出した。

『ほんの試し打ちじゃない！』

Aはそばにあった大きな岩に身を隠す。

ジュウジュウと岩の焼ける音

とても熱い。
一瞬焦りが出たが、一つ深呼吸をして冷静さを保つ。

勢いよく飛び出すと
突然、左横腹を耐え難い激痛が襲った。

ファフニールの太い尾が
肋骨と腰の骨の間にめり込んでいるのが
微かに見えた。

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