いつの間にトリップしたんだ私は【名探偵コナン】 (ページ9)

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◈今まではそう思ってたのにページ9

安室side

正直、恋なんてもうしないだろうと思っていた。この命は、公安警察として国のために。国に尽くせたら俺の人生はそれでいい。恋人だって、この国だ。なんてことも言ったのだ。

それなのに

『ねぇ、少年。さっきこの100円落としてたよ？』

彼女が店内に入ってから、元太くんが店内に入ってからの行動などを見る限りそんなことはなかっただろうに。
嘘をついてまで初対面の少年を助けるその姿に、警察としてなのか。それとも普通にかはわからないが何故か惹かれた。

初めて見る顔だし、初来店だろう。最初店内に入ってきた時には急にしゃがみこんだりしたから少し驚いた。目眩と言っていたが、多分目眩とは違う理由だ。真相が少し気になる。

自分でも驚いている。異性のことをこんなに考えるのは久しぶりだ。自然と目線が彼女を向いてしまう。
そして、彼女たちが席を立った時には梓さんは片付けをしていたので自分が会計出来るな、と少し嬉しかった。もしかしたら彼女と話せるかもしれないのだ。

案の定、彼女は会計が最後で、しかもほかの3人は外に出て行った。これ以上のチャンスは無いだろう。そう思って声をかけた。

「あぁ、すみません。やり取りが面白くて…」
『なんか、すみません』

呆れたように笑いながら謝罪の言葉を述べる彼女は苦労人なんだろうな。そんな感じがする。
そこから少しの雑談。話していてわかった。この子は根から優しいのだろう。だから自然とあんな行動ができるのだ。

それはあんな風にいい友達に囲まれるわけだ。彼女も、周りの子達も楽しそうで、幸せそうだった。
しかし想定外だったのは、彼女の口から探偵というワードが出たことだ。確かに、工藤新一や毛利小五郎などの存在のおかげで、探偵というものが世間に多く広まっていた。それでも、あんなに普通に出てくるものではない。

話しながら彼女のことを分析しているうちに、ある気持ちが強くなった。

"これからもポアロに来て欲しい"

もっと話して、彼女のことを知りたい。そうすれば、今日抱いた疑問も全て晴れるかもしれない。どうしたら来てくれるだろうか。

(…あ、そうだ。チョコレートケーキ…)

ポアロの新メニューとしてチョコレートケーキを昨日作り、余っていた分を持ってきていたことを思い出した。
丁度いい。ココアを飲んでいたため、甘いものはきっと好きだろう。