いつの間にトリップしたんだ私は【名探偵コナン】 (ページ26)

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◈好きなタイプページ26

「あ、お待たせ致しました。ハムサンドとココアです」
「あ、ありがとうございます…」
『…ありがとうございます……』

なぜか安室さんから黒いオーラが見える。黒色のオーラですか？などという通じないようなネタを思い浮かべつつ、口をきゅっと噤む。

「柊さん」
「っえ、あ、はい？」
「さっきの、よく見せてくれませんか？」

にこり、と相変わらずの笑みの安室さん。正直怖すぎてひぇ、って声が出そうだ。FBIを目の前にした時と同じくらい笑顔が黒いんですが。

「…黒髪、白い肌、赤い目…」
『……』

安室さんが口に出したのは、私の推しの特徴である。偶然にも、あまりにも偶然すぎるが、その見た目は安室さんとは全く異なるもので。真逆と言っても過言ではないほどだ。
冷や汗をかくってこういうことか、と理解する。なぜだろう、この空間がとても寒く感じる。

「…Aさんは3次元でもこういう人が好きなんですか？」
『え？』

唐突な安室さんの質問にきょとん、としてしまう。それは一体どういう意味なのだろうか。少し、期待をしてしまうのだが。

「あ、ほ、ほら！Aは3次元と2次元でタイプ違うよね！」
『そうですよ？私は2次元と3次元で区別つけますし！』

安室さんの黒いオーラを察したのか、碧もなぜか必死で弁解する。私も便乗して事実を言えば「…そうですか…」と。

「では、3次元ではどんな方がお好みで？」
『…え？』

今日の安室さんは、いつもより予想外の発言が多い。まさか好みを聞かれると思わず、うーんと顎に手を当て唸る。
好きなタイプを聞かれているのだろうが、実際私には既に好きな人はいるのだ。

『…他人にも、自分にも厳しくて、…でも優しくて、自己犠牲が強くて、いっつも怪我する人、ですかね』

それを言いながら心に思い描くのは、最愛の人と言っても過言ではない"降谷零"だ

安室さんは心做しか目を見開いているように見える。どこか引っかかっているのだろう。そりゃ引っかかりますとも。あなたのことを言ってるんだから。

「…随分、具体的なんですね」
『私の好きな人が実際にそうなんです』
「……」

そう言うと少し考え込む安室さん。悩んでいる姿もかっこいいな、と思いつつ黙っておく。あまりにもKYすぎる発言だ。

『まぁ、叶わない恋ってわかってるから、諦めてるんですけどね』
「…どうして決めつけられるんですか？」