いつの間にトリップしたんだ私は【名探偵コナン】 (ページ16)

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◈少し幼稚だけど事実ページ16

安室さんの名前を試しに呼んでみたが、それだけで口角が自然と上がってしまった。やっぱり好きだな、と。これをいつか降谷さんにも出来たらな、と。叶うかどうかもわからないことを思う。

『…あ、そういえば安室さん』
「？はい」

名前を聞いたからにはちゃんと呼ばねば、と思い早速口に出す。安室さん。いい響きだ。安室さん。何度も口に出したくなる。

『昨日いただいたチョコレートケーキ、すごく美味しかったです！』
「ホントですか？それなら良かったです」
『今まで食べたどのケーキよりも美味しかったです！プロ顔負けですよ！』
「ふふ、そこまで言っていただけるとこちらも作りがいがありますね」

正直名前呼びされた衝撃で忘れかけていたチョコレートケーキの存在。それでも優秀な私はちゃんと思い出し、その感想を伝える。すると安室さんはとても嬉しそうに笑ってくれるので、なんだか幸せな気持ちになる。

「甘い物がお好きなんですね」
『はいっ。バリバリの甘党です』
「へぇ…そうなんですね…他にもスイーツはあるので、甘い物が食べたくなった時はぜひポアロに来てくださいね」
『もちろんです！』

あなたに会うために通いますとも、とは言わず下心を隠した笑みをひとつ。でも純粋にこのお店の雰囲気は好きだし、梓さんも好きだし。勉強するにももってこいの空間が、気に入った。

それから一言二言交わし、安室さんは仕事に戻った。そんな中私は背後からの視線を感じ、少し気まづくなる。若干の居心地の悪さに、ため息が出そうだ。
元を辿るようにその視線の犯人をチラッと見れば十中八九安室さんのファンであろう女子高校生2人組。

多分「まだ常連でもないのになにあむぴにひっついてんだよ」みたいなやつだな。まあ確かに君たちからしたら私はぽっと出の女だし、実際出会ってからまだ2日しか経ってない。
しかしトリップ前も含めると君たちより安室さんのことは知ってるし、君たちより長く安室さんのことが好きだし、何よりも彼女たちは降谷零とバーボンについては知らないのだ。

例え彼女たちに何を言われようが思われようが、どうでもいい。だって絶対に負けてないから、なんて幼稚なことを考える。