愛され狐は今日も泣く

10話 ページ12

「千里ちゃん？はやく！！」


ぼーっと坂田さんの背中を見つめていると部屋の中から優ちゃんに声をかけられた。

今日もちいさなツインテールを揺らしながら可愛く笑う。


『おじゃまします』


小さくお辞儀をして、靴を揃えて部屋に上がった。

ものが少ないわけじゃないけど可愛らしい部屋だった。


「千里ちゃん！やっぱその服似合ってるね！！」


そう、私が着てきたのは前一緒に買ったワンピース。

ベージュに淡いピンクの花柄のロングワンピースだ。

私的にもけっこうなお気に入り。

似合う、って言って貰えるとやっぱり嬉しくて。

照れ隠しみたいに小さく笑った。

そんな私に優ちゃんはまた笑顔をくれた。

そして私を二人がけのソファーに座らせる。


「千里ちゃん、ゲームしたりする？？」


コードを引っ張り出しながら私に問う。


『あんましたことないかも』


やってみたいけど不安だな…。

そんな私の不安を見越してなのか。


「じゃあ、やり方教えるから一緒にやろ！！」


そう言って優ちゃんは笑ってくれた。

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