大将、芸能界を辞めた金田一耕助の孫娘です。 (ページ10)

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No.9 ページ10

こんのすけ「主様、ここに座ってはお体が冷えてしまいます。中へ入りましょう？」

こんのすけの提案を断り、私はちょこんと転移装置の前に座っていた。

貴方「……ここで待ちたい。」

こんのすけ「…そうですか。では、わたくしめもお隣宜しいですか？」

貴方「うん。」

彼女の不安の気持ちを悟ったこんのすけはそれ以上何を言うことなく、加州の帰りをAと待っていた。

貴方「……こんのすけって言いましたよね？」

こんのすけ「はい。」

貴方「……こんちゃんって呼んで良いですか？」

こんのすけ「！はい。」

10分……
20分……
30分と時間が過ぎていく。
会話も何も無く、ただ沈黙だけが続いて行きました。
それでも、今まで独りだった私にとって、隣に誰かがいるということだけでも十分でした。

貴方「…清光、遅いですね。」

初めて、私から話しかけた。
こんのすけは内心驚きながらも、平然を装った。

こんのすけ「もうそろそろだと思いますよ。主様、恐らく加州様は多少なりともお怪我をされているはずです。」

貴方「えっ……」

こんのすけ「ですから、主様には後ほど手入れというものをしてもらいます。それをすれば、加州様の怪我もすぐに治りますよ。」

ｶﾞｼｬﾝｯの音に反応し、振り向いた。
楽しげだった顔が一気に青ざめた。