251時間目 ページ13
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手拍子を観客に促すと、学秀と秀華は手を取ってチャチャチャを踊り出す。2人とも明るい笑顔で、楽しげに、息ぴったりで。
「浅野ー!」
「浅野さーん!」
「いいぞ双子ー!」
観客たちからの声援は、カルマの心に靄がかかる。
秀華、すげー人気じゃん。
そう感じた瞬間に、ぱちりと秀華と目が合った。その瞬間に彼女はカァッと顔を赤くした。その反応に思わずカルマはきょとんとする。
「どうした秀華。」
「カ、カルマが居て…。」
顔を赤くした秀華に、学秀が問う。恥ずかしそうに言う秀華に、普通ならピンとくるだろうが学秀はそうはいかない。確かに同じクラスの友人に見られるのは恥ずかしいかもしれないな、と違うそうじゃないを地で行く。
音楽が転調してチャチャチャからサンバへと変わる。陽気なテンポに手拍子も加速する。
「ねぇ、学秀。」
「なんだ?」
「観客巻き込んだら、楽しいかしら?」
「!」
秀華の言葉に学秀は目を丸くした。
僕の妹はこんなことを言う奴だったか?
E組に行って明るくなった秀華。E組に行って積極的になった秀華。変わったといえば終業式の日の秀華の言葉。同率じゃない1位を貰うと宣言した彼女の不敵な笑み。
「面白そうだ…!」
高揚して踊る自分の心に学秀は素直に従った。曲が終わって、また転調するタイミングで学秀が音響担当に合図を送る。すると流れ始めるSingSingSing。この曲はラテンアメリカンではなくスタンダードの方で踊られる曲。
学秀と秀華は取り合った手を離して、観客を煽るようにして歩き回る。そして2人はそれぞれある人物の前に立って問いかけた。
「“Shall we dance?”」
「へ?」
「…俺?」
学秀は藤井の元へ、秀華はもちろんカルマの元へ。急な振りに2人は動揺しつつも、盛り上がった観客たちに背を押されて中央に立たされる。
「浅野君!? 私、ダンスの経験なんて…!!」
「秀華〜?俺も流石にこれは…。」
動揺する2人だが、浅野兄妹は不敵に笑ってそれぞれのパートナーの手を取った。
「大丈夫だ。藤井さんに恥はかかせない。」
「大丈夫よカルマ。私がリードする。」
そう告げると彼らは曲に合わせて踊り出した。軽やかに走って飛んで、観客たちも盛り上がる。
これがきっかけで学園祭で3年A組は代々ダンスで締めくくるようになったとか、ならなかったとか。
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麗(プロフ) - 29ページ 頃について 殺せんせーに とかではないのでしょうか? (2021年5月22日 1時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
ざくろ(プロフ) - まなぴすさん» 優しいお言葉ありがとうございます!! 一人暮らしの予習だと思って頑張ってきます(料理以外てんでダメ)…( ˇωˇ ) (2021年3月4日 9時) (レス) id: d0e69d8f04 (このIDを非表示/違反報告)
まなぴす(プロフ) - お母様のご様子が心配です…!無理せず自宅の方専念されてください!ずっと待ってますのでー!! (2021年3月4日 0時) (レス) id: 1ee9da6645 (このIDを非表示/違反報告)
ざくろ(プロフ) - カナナさん» コメントありがとうございます!!そう言っていただけてとても嬉しいです(´˘`*)私もこの章大好きです!!秀華ちゃんが理事長の娘である以上、この章に力入れて書きたいと思いますので更新待っていてくださいね(^ ^) (2021年3月1日 1時) (レス) id: d0e69d8f04 (このIDを非表示/違反報告)
カナナ - ざくろさんが書くお話が大好きです!!!!文の表現がとても上手で分かりやすいです。ここから私が好きな章なのでとても楽しみです。これからも無理のないよう頑張って下さい。応援してます。 (2021年3月1日 0時) (レス) id: 6af05f93ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ざくろ x他1人 | 作成日時:2021年2月23日 23時