感情の名前 ページ36
ガラガラ
ゆっくり医務室のドアを開けると、奥ですやすや眠っている鬱が居た。
『ふ…アホ面』
あの後は、我々国の幹部の方々と一緒に乗せてもらい、今は医務室に来ている。車内では空気が重く誰も喋らなかったな。いや、原因は私なんだろうが。
そして、心配してやったというのにアホ面でそろそろいびきをかきそうな奴を見下ろす。
幸せそうに寝るなー
しん「来たんだ！」
『ペ神か。ビックリさせないでくれ。』
しん「ふふ、大先生の事心配だったの？」
『別に…。』
肯定も否定もしないが、どちらかと言えば心配していた。重傷って言っても怪我の具合は自分の目で確かめないと分からないからな。
しん「…俺はもうここをでるけど、まだ居るよね？…あんまり頑張りすぎちゃダメだよ。人生程々に、ね。」
そう言い残し、白衣を着た男は医務室から出て行った。思ったよりもあっさりしていたな。
鬱「ん……ぉすしぃ…む、り…」
『ぶっwだからどんな夢見てんだよw』
思わず吹き出してしまった。だが、彼は目が覚めていないようで、時折寝言をむにゃむにゃ言っている。
鬱「んっ……ごめ、な……ぃ…」
私は知っている。
彼はクズと言われようと、能無しと言われようと、必死に頑張っていることを。
私は知っている。
彼が仮面を付けて、自分を偽っていることを。
私は知らない。
彼が今何で悩んでいるのかを。
彼は知らない。
私がどんな奴なのか。どうやって生きてきたのかを。
鬱が少し寝返りをうったあと、前髪が邪魔そうだったのでさらさらした髪を横に寄せると、擽ったそうにふふと微笑んだ。
…私は知っている。
一つだけ、知っていることがある。
この感情が何なのかという事を。
それでも私は、いつも通り気付かないふりをする。
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掛け軸(プロフ) - 嶺緒さん» 気づくのが遅くなってしまいすみません。面白いと言って貰えると、こちらとしても嬉しい限りです。コメントありがとうございました！ (2019年1月6日 14時) (
レス) id: c19dec969c (このIDを非表示/違反報告)
嶺緒(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても面白い作品でした…！！次回も楽しみにしています！ (2019年1月5日 17時) (レス) id: 27af552c6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：掛け軸 | 作成日時：2018年11月10日 18時
