5話 ページ6
「何にしろ解放されてない刀剣がいることは確かなんだよね?一発で出来るか分からないけど、それをやってからでも政府への確認は遅くないはずだよ。逆にそっちの方がいいかもしれない。」
「………あぁ、そうだな。よしっ、じゃあ久しぶりにやるか。光忠、お前も手伝えよ?」
「もちろん。」
主命とあれば、なんて今は内番中の彼の口癖をわざと言葉にするとお前もか?とでも言うように主はふっ、と笑みをこぼした。
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カン、カン――と、こ気味の良い音が鍛冶場に響きわたる。初期刀である加州君を鍛刀して、次に僕が鍛刀されて。それから近侍は僕のままずっと変わっていない。あの時に比べれば随分と慣れたものだね、と思わず懐かしんでいたらどうやら完成したみたいだ。出来た刀身に、蒼斗君の霊力を注ぐと一瞬刀は光に包まれ、次いで見れば一本の立派な刀が現れていた。
「よし、成功…か。」
「お疲れ様。はい、タオル。」
渡したタオルを肩にかけ、鍛刀した刀を手に取る。
「へぇ…随分と装飾に富んだ刀だね。」
「そうだな…これは脇差か?」
黒の漆塗りの鞘には金色で桜が描かれ、 銀色に輝く刀身に彫られているのは椿の花。透かしの鍔には優美な蝶と家紋が入っており、下緒と柄糸は艶やかな紫色をあしらっていた。
「普通の脇差より少しだけ軽く作られてるようだし、女物だろうな。」
「うん…女剣士でも使ってたのかな?」
「いや、それは……あるのか?というかそもそも実戦向きの刀なのか?」
謎は深まるばかり。これ以上話してても分からないだけだし、とにかく実体を呼んであげようということになった。
主が目を閉じ、意識を集中させて小さく呪文を唱えながら手をかざすと辺りはさっきよりも大きな白い光に包まれる。
光が収まって眩しげに閉じかけた目を開き、そこに現れた存在に意識を向けようとすると何と言うことか、驚いたことに目の前にいた者は………………………………
一人の少女だった。
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作者名:ルイス | 作成日時:2016年10月25日 0時