4話 ページ5
光忠side
「主、入るよ」
閉ざされた襖を開ければ、そこには先程から机の上に置かれたタブレットと真剣に睨めっこしている主の姿。きっと仕事でいい加減疲れているだろうと思い、つい今しがたいれてきた人肌のお茶を隣におくと、ありがとうと一言主が呟いた。
「何だか今日はいつもより頭を悩ませているみたいだね。どうかしたの?」
そう尋ねれば、ずっと端末を凝視していた目はこちらに向けられ、おいおいと軽く口元に笑みを浮かべる。
「全く、俺がいつも何も考えてないみたいな言い方止めろよな?」
丁度いい温かさのお茶を手に取り、おっ、今日は茶柱がたってるぞ!良いことあるかな、なんて笑う我が本丸の主は出陣時や軍議の時には驚く程の才能を発揮するが普段は良い意味でいい加減な、寛容といえばいいのか何というか。とにかく自由で僕達、刀剣の事を良く考えてくれている優しい主だ。あんまり素直ではないんだけどね。
「ははっ、冗談だよ。蒼斗君はみんなの事いっつも思ってくれてるもんね。」
「………はあ?そんなの当たり前だろ」
舌打ちと共にそっぽを向いてしまった主の顔はほのかに赤くなっている。あまり堂々と言葉をかけてこない主だからその様子は少しばかり可愛げがあって笑いがもれる。
「おい、いつまでも笑ってんなよ?………あー、それより光忠。ちょっとこれ見てくれないか?」
差し出されたタブレットを見ると、そこに表示されていたのは刀帳。ここの本丸はもう既に全員の刀剣男士達が揃っている。
「刀帳、でしょ?これがどうかした?」
「それがさ、下までスクロールして見てみ」
言われるがままに慣れた手付きでするすると下までさげると、もう揃ったはずなのにぽっかりと空いた一つの場所。
「あれ、おかしいね。集めてない刀はいないはずなのに」
「そうなんだよ。また新しく実装された刀剣がいるわけでもないし、かと言って御上が何か言ってくるわけでもない。バグかと思ったけどそういうのでも無いみたいだしな……」
うーんと頭を唸らせる彼を見つつ、僕も同じことを考えていた。だがここに場所が空いてるということは例え、御上が何も言ってきていないとしてもまだ刀剣が一つ残っている事実に変わりはないのではなかろうか。
それならやるべき事はあれしかない。
「主、今すぐ鍛刀しよう。」
「はっ?」
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作者名:ルイス | 作成日時:2016年10月25日 0時