桜のゆくえ【刀剣乱舞】 (ページ24)

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23話ページ24

『ん……』

一瞬、ぶるりと明け方の寒さを感じて思わず目が覚める。
それでも感覚はまだ寝ぼけているようで、まるで昨日のことが夢なんじゃないかとまで錯覚するようなそんな気分。

だけど隣でまだ眠る兄さま達を見てもちろんそんな事はないんだけど、と少し苦笑した。

この温かさに微睡んでもう一眠りしようかな、なんて思ったけど1回覚めてしまった目はもう眠りの世界に行くことはなくて、まあ、もういっかと諦め半分、Aは自分の体を起こした。

襖を開けて廊下に出ると夜が明けきってないほの暗さがあって空気がひんやり冷たい。

『……あれ、何だろ。なんかすごくいい匂いがする』

ほんのり香ばしいような、食欲がそそられるそんな匂い。そうか、この先の厨房からか。きっと誰かが朝餉の支度をしているのだろう。
今ならまだ私も準備の手伝い出来るかな、と思ったAは浮き足立ちつつ、少し急ぎ目に厨房へと向かう廊下を駆けていった。

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｢歌仙くん、焼き魚の準備どう？｣

｢いい感じに焼き上がってるけど…なんせ数が多くてね。そっちはどうだい？｣

｢ははは、だよねぇ。こっちもいつも通り大丈夫だよ。……………でも何か忘れてるような……あっ!!｣

『？燭台切さんに歌仙さん、おはようございます』

厨房に入って早々、何故か顔を青くした光忠ときょとんとしている歌仙の姿が。
歌仙はこちらを向くとおはようの一言と一緒にふわりと笑う。

｢ああ！Aちゃん！よく眠れた？というか早いね！｣

もう少し眠ってても大丈夫だよ？昨日は疲れたでしょ、って気遣う光忠はやっぱり優しい。