桜のゆくえ【刀剣乱舞】 (ページ17)

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16話ページ17

その日の夜、Aが来たことを祝って宴をしようということになり光忠が作ってくれた料理と秘蔵のお酒でどんちゃん騒ぎしていた頃。
もうこの時にはAも皆と大分打ち解けあっていて、他の者達もそのAの優しい人柄と愛らしい表情に惹かれたのか早くも取り合いが始まるような予感を厨房で酒の肴を作りながら光忠は内心抱えていた。

「Aは可愛いな。どれ、じじいの膝にでも座るか。」

「おうおう、そんな爺さんの膝なんか気持ちよくもなんともねぇぞ。俺の所にこないか？」

「ちょっといい加減なこと言わないでくれない？てか鶴丸も十分爺さんだから。Aは俺のとこが一番いいもんね？」

「はっ、何言ってんだか。僕の腕の中好きでしょ、A。」

「てめぇら。昔っからAは俺の膝にしか座らねぇんだよ。な？」

「みんなうるさくて大変だよね。あっちの静かな所にでも行こうか。」

『え、えーと……』

見事予感は的中だったわけだが。

三日月が手招きし鶴丸は三日月を押しつつ目の前に居座り、隣は清光と安定が占領し大声で兼定が怒鳴り、後ろからさり気なく堀川は肩に手をかけ囁いている。

『ちょっと、皆さん……』

「Aさん。少しいいですか？」

この面々の者ではない、いきなり自分を呼ぶ声が聞こえ周りをきょろきょろ見渡すとこちらです、と一期一振がその手を差し出した。
ためらいつつも掴むと優しく引っ張られ一期の腕の中にAの小さな体はすっぽりと収まる。

「弟達が貴女と話したがっていまして。良ければどうですか？」

『とっても嬉しいです…！こちらこそ宜しくお願いします』

「じゃあ行きましょうか。」

最後にAに気付かれないように、未だ揉めている清光達ににっこりと微笑んでから。

「あいつ……とんだ策士だぜ。」
「腹黒」
「お前も人のこと言えないだろ。」
「僕はAに対しては優しいからね。適当に扱ってるのはお前ぐらい」
「はあ！？」

そんな会話が繰り広げられていることもAは知らない。
それよりも今は短刀達とのおしゃべりに夢中らしい。

「ねーねー！Aちゃんって呼んでいい？ボクは乱藤四郎！」

『もちろん。よろしくね！乱ちゃん何だかすごく話しやすくて嬉しいや』

「ボクも！」

乱が満面の笑みで手をぎゅっと握ると、その陰から五虎退や秋田、前田と平野までみんな揃って乱の服の裾を引っ張ってきた。