15話 ページ16
割って入るように挟まれた声はどことなく不機嫌さを含んだ土方のもう一つの愛刀、堀川のもので。
『!堀川くん……!』
「久しぶりだね。元気そうで何よりだよ。」
和泉守の腕の中からAの手を引くと、いつもとは違う、少し強引なくらいに堀川はその肩を抱いた。
『堀川くんも!…私、ずっと心配してたんだよ。兼さまとか堀川くんどうなっちゃったのかなとか色々考えちゃって…。』
そうして俯いてしまったAを見つめるとその堀川の白い指ですい、と軽く顎をすくう。
「悲しまないでよ、Aちゃん。あの時一緒にいたみんなはちゃんと全員ここにいるよ。……でも、今君の目の前にいるのは僕なんだから他の人のことはちょっと考えてほしくないな、なんて思っちゃった」
ふふっと冗談っぽく笑った堀川がその頬を一撫でした。隣では、あー俺の妹に!なんて言って清光が暴れて安定がさり気なく刀に手を掛けて、それを冗談だから!とどっちも光忠に押し止められている。
「ったく、お前ら揃いも揃って歪みすぎだろ……。これから大変なことになりそうだな…。」
「そうだね、まだあそこだけなら良いけど増えていくかもね。…取り合いの数が」
「ん?何か言ったか?」
「…いや、何でもないよ」
何か彼女って構いたくなるような気がするんだよね、と心の中で光忠は苦笑する。だからきっと他の皆もAと接したらそういう感情を抱くのではないだろうか。
(…それはそれで複雑なんだけど。)
もっと彼女と話してみたい、もっと色々なことを彼女としてみたい。そう思うくらいにはAへと少し惹かれてしまっている自分が居るのかもしれない。
「Aちゃん。改めてこの本丸へようこそ!」
知らぬ間にAの周りへ出来た集いの中に入って声をかければみんなもようこそ!と口々に言い合う。
Aはありがとう、とうっすら目に涙を溜めて大輪の花が咲いたような笑顔で答えた。
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作者名:ルイス | 作成日時:2016年10月25日 0時