11話 ページ12
「おい、光坊、いったい何があって俺達を呼び出したんだ?」
主の言い付け通りあちらこちらに散らばった刀剣男子達をかき集め、あと一人揃えば完璧となったのはつい先程。その一人というのは平安貴族のごとく、まったりとした足取りが特徴のあの人で短刀やみんなからはおじいちゃん、おじいちゃんと呼ばれている。本人も自分からじじいだと言っているのだけれど。
そんな時、鶴丸は金色の透き通った瞳を期待するように輝かせ、光忠もその美しい金色の双眸をにっこりと細めて優しく微笑んだ。
「まぁ、ちょっと待っててよ。もうすぐ分かるから。」
「先程、加州と大和守を連れて出て行ったようだが……何か関係があるのか?」
皆大分集まってきた大広間の中に優雅な口調で入ってきたのは三日月宗近だった。
「三日月、遅いじゃねえか。お前待ちだったんだぞ?」
「はっはっは。すまぬ。」
相変わらずの自由さだと思うがそんなところも彼の魅力だろう。それだけでこの本丸が笑いに包まれるのだから。
「でも、流石に主達ちょっと遅いね。僕見てくるよ。」
少しばかり心配になった主の姿を思い浮かべ、それと同時にさっき鍛刀されたばかりの小さな少女の姿も頭によぎる。容貌や雰囲気は大人びていたが、まだ成人しきった女性でないあどけなさが残っていて、白い肌に桃色の愛らしい口元、背は小さいのだがその豊かな黒髪は腰元に届くほど長く美しかった。
「Aちゃん、だよね。あの子も大丈夫かな…」
ぱちりとした大きな瞳は不安げに揺れて涙を零していた。幼いながらに抱えた苦しみや悲しみが眠りから目覚めたことにより溢れてしまったのかもしれない、と密かに光忠は心の中で呟いた。
刀剣というものは何かしらの事情を過去に抱えて今ここに存在するものもいる。それは自分の存在であったり前の主との事であったり理由は様々だ。
「ん?光忠?お前こんな所で何してんだ?」
まるで自分の思考とリンクするように向かい側から顔を覗かせた蒼斗は清光と安定とAを引き連れて首を傾げた。Aは清光と安定に手を握られ嬉しそうに、でもどこか2人の間に険しさを感じたのか苦笑しつつもこちらへと笑みを浮かべている。
「何でもないよ、主」
少し前の涙を忘れさせるように幸せそうな表情をしたAにひらりと手を振ってから光忠は蒼斗へと向き直った。
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作者名:ルイス | 作成日時:2016年10月25日 0時