桜のゆくえ【刀剣乱舞】 (ページ11)

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10話ページ11

「光忠、みんなを広間に集めておいてくれないか。俺達は後から行く。」
「了解。」
「A、これからお前をこの本丸にいる奴等に紹介しようと思うんだが、大丈夫か？」

『…あの、やっぱり色んな方が沢山いらっしゃるのでしょうか……』

光忠が去ったあと、主は美和へと視線を向けながらそう言った。これから一緒に住むことになるのだから自己紹介なんて当たり前と言えば当たり前なのだけど、Aは昔から慣れれば大丈夫だが初対面の人には少し人見知りする子だった。現に今、少し不安げに眉を下げた彼女を見て、やっぱり兄としてはちょっと心配。

「A、まだ人見知りは直ってないの？あーあ！そんな顔しないで！大丈夫、兄ちゃんがついてるから。それにここのみんなは、まぁ……個性的ではあるけど優しいからさ！」
「うん。じゃあ…僕と手でも繋ごうか」
「あーずるい！俺も！」

すかさず僕がAの手をとった姿を見て清光も負けじと反対側の手を握る。どんなにやかましいとも騒がしいと言われても結構だ。Aが嬉しそうに笑うその表情が見れるのなら何だっていい。

「はぁ…行くぞーお前ら。」
「あっ、ちょっと待って！」

妹にぞっこんな僕達に主はやれやれと首を振った。きっとこれからはその呆れた仕草が主の癖になってしまうかもしれない。でもAが大好きなその気持ちは止められないし、すぐ抱きしめたくなっちゃうし。

『は、はい！』

呼ばれた途端、急いで駆け出そうとするAの腕を僕はそっと引く。

そう、まだ約束は果たせていないんだから。

「………………A、おはよう。」

目覚めたら君をぎゅっと抱きしめる、と言った最後の約束。あぁ、やっと叶ったんだ。

『…………安定兄さま！後で私のお話、ちゃんと聞いて下さいね？』

そうだね、きちんと覚えているよ。

僕が笑うとAもふわりと可愛らしい笑顔を添えてくれた。