1ミリのチャンス【山口忠】

片想い 1 ページ2

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「おはよ！忠！」



朝、家の前でAを待っていると

後ろから声をかけられた。







「おはよ！A」




Aとは家が近いから

いつも一緒に登校している。




2年生になってクラスも離れてしまったから

一緒にいられるのは

一緒に登校する朝と4人で下校する時だけ。



しかも 2人きり というのは

一緒に登校する朝の時間しかないから

俺にとってはとても貴重な時間。









「A、少し髪切った？」







「え！前髪少しだけ切ったけど！

気づいてくれるなんて、さすが忠！！」







「そりゃあ気づくよ、友達だもん」





''友達,,



本当はそれだけじゃない




Aは俺の好きな人だから


だから、少しの変化も気づくんだよ…






そんなこと、

本人には絶対言えないんだけどね……








「こんな小さな変化にも気づいてくれるの

忠ぐらいだよ〜、」




微笑みながらそう言うA。







「そうかな……」








そんなことないと思うけどな……





きっとAのことが好きな人なんて

俺以外にもたくさんいるだろうし…






Aが気づいていないだけで、

Aのことを見てる男子だって

きっとたくさんいる……








早くしないと


Aは誰かと付き合ってしまう



俺の手の届かないところに行ってしまう









分かってる………









分かってるんだけど、







Aに告白する なんて、

考えただけでも緊張してしまうのに

実際にできるわけない……








ほんと、

俺って気が弱いなぁ………









「はぁ」





自分の気弱さに

思わずため息をついた。









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