111話 遺言 ページ15
.
『にちかちゃん!』
「A、会いたかったわ。炎柱様が復活してからすっかり元気ね」
本部にたどり着くと、にちかちゃんが玄関で待っていてくれていた。
ただ、その瞳には哀愁が漂っていた。
あたしは察してしまった。
『……分かってるよにちかちゃん。いい知らせじゃないことくらい』
「うん………ついてきて」
にちかちゃんはあたしたち3人を書斎に招き入れると、古びた冊子を差し出した。
「少女鬼譚を全て意訳したの。読んで」
愼寿郎さんに聞いた通りだ。
そこには死が近いことを察した彼女の言葉が並べてあった。
「この通り、伝説の稀血は何かを許容したことで身体に異変がおき、骨も残らず灰になって死んでしまったの」
その言葉に激しく感情を顕にしたのはお兄ちゃんだった。
「灰になって、死ぬ……?どういうことだ。
A、それを知っていたのか!?
煉獄さん……どうして俺にそれを黙ってたんですか!!?」
「落ち着け竈門少年。
まだそうと決まった訳では無い。それにその猶予まで少なくともあと40年近くある」
「だからって、妹が死ぬかもしれないと聞いて落ち着いていられるわけないじゃないですか!」
「それは俺も同じに決まってるだろう!!!」
感情のこもった煉獄さんの声に、お兄ちゃんはビクリと肩を跳ねあげ、そしてうつむいた。
「……すみません煉獄さん。煉獄さんだってAのことを第一に考えてくれてるのに」
重苦しい空気が流れる。
「お取り込み中失礼します」
そんな時、新たな声の介入に一同は注目した。
「ひなき……?」
「お館様が炎柱様と炭治郎さんをお呼びです。
にちか、私はお館様を案内するからあなたはおふたりを連れてきて」
「……分かったわ」
にちかちゃんが立ち上がると、お兄ちゃんも煉獄さんも無言で立ち上がった。
それからあたしはひとり書斎に残って手記を眺めた。
3212人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まゆ(プロフ) - 続きが気になります!更新楽しみにしています! (2022年5月9日 22時) (レス) @page42 id: d503357f65 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴぽ - やば‥泣いた………… (2022年1月16日 15時) (レス) @page42 id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
*舞夜*(プロフ) - とても面白かったです!! 煉獄さんがいつ自分の気持ちに気づくかとても楽しみです!! 主人公も早く煉獄さんに落ちてほしい( ´罒`*) 更新頑張ってください!待ってます!! (2021年11月9日 1時) (レス) @page42 id: a1507cd74d (このIDを非表示/違反報告)
いぎ - めちゃくちゃ良かったです!続きが気になります!( °∀°) (2021年10月27日 16時) (レス) id: f55d613724 (このIDを非表示/違反報告)
#きのこ - ああああ尊いです 更新頑張ってください('ω')ノ 応援しています(^^♪ (2021年10月13日 15時) (レス) @page42 id: c964701d6c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:いお | 作成日時:2019年10月14日 15時