Chapter:07 ページ8
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関さんは、いつも冷静だけど、妹さんの事になると、少しだけ、寂しそうにする。
それは俺が中大に入学して、関さんが先輩として関わってくれてから、もう、ずっと、そうだ。
妹さんとの間に何があったかは、知らない。分からない。でも、妹さんは俺の1つ下だったから、妹さんの高校時代を、勿論俺は知っている。
誰もが、衝撃的だったと思う。
あれだけ日本で、世界で、活躍が期待された選手が、前触れもなく、バレー界から姿を消した。
あの時、俺も。本当に衝撃的だった。
だってそれだけ、彼女は本当に、強くて、凄い人だったから。
中大に入って、関さんの後輩になって。何度か、関さんに妹さんとのことを聞いた事があった。
その度に、関さんは。どこか寂しそうに、悲しそうに、「多分、俺のせい。...祐希が気にする事じゃないから」と、毎回ヘラッと、笑っていた。
だからずっと、今も。彼女の存在は分かっていても、深くは追求せずに、ここまできていた。
それはきっと、関さんの友達も、同期も、みんな、そう。
関さんと、妹さんの間に何があったかは分からない。
分かってはならない、そんな雰囲気だった。
だからまさか、今回の通訳の件で関さんが妹さんの話を出すなんて、多分事情を知ってる人達にとって、勿論俺も、ほんとうにびっくりした。
...まさか、クワドリンガルなんて、それすら知らなかったから、本当にびっくりというか、凄いというか。
彼女が今、何をしているのか、どんな職業に就いているのか、それは分からないけれど。でも、確かに関さんの言うように、バレー知識はお墨付きだろうし、何より監督と最も意思疎通出来る人だと、適任者だと、思った。
コーチ陣も、彼女がバレー界から離れている事は知っていた。
だから、無理にとは、言えず。先ずは、チームを知ってもらいたい、チームを知った上で、判断してもらいたい、そう言う意味を込めて、先ずは合宿を見に来てもらう、そんな方向になったそうで。
勿論俺も、了承した。
後は、兄妹のことなので、深くは顔を突っ込めない。
そして、彼女が決める事なので、俺達はただ、見守るだけ。
でも、俺は。
あの頃、キラキラした笑顔で全力でバレーに取り組む彼女を知っているから。だから、こそ。
俺も、彼女にはチームに来て欲しい。
そしてあわよくば、一緒に世界と戦ってみたい。
そんな思いが、心のどこかにあった。
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こめお(プロフ) - だっちゃん。さん» 全然です!宮浦選手めちゃめちゃ可愛かったです!笑ありがとうございます!本当に連載お疲れ様でした! (10月23日 22時) (レス) id: 121e674881 (このIDを非表示/違反報告)
だっちゃん。(プロフ) - こめおさん» こめおさんありがとうございます!!番外編を書きましたがご希望通りになかなか進めれず申し訳ございません.... (10月22日 20時) (レス) id: ff3705be26 (このIDを非表示/違反報告)
だっちゃん。(プロフ) - けるさん» けるさんありがとうございます!!何とか毎日更新から無事に完結することが出来ました!!もし次回作思いつけば頑張ります!!!! (10月22日 20時) (レス) id: ff3705be26 (このIDを非表示/違反報告)
こめお(プロフ) - だっちゃん。さん» 完結おめでとうございます!番外編楽しみにしています!!! (10月21日 14時) (レス) id: 121e674881 (このIDを非表示/違反報告)
ける(プロフ) - 毎日 更新されたかな?と楽しみに待ってました!完結おめでとうございます!楽しく読ませていただきました!また楽しみにしてますね! (10月21日 12時) (レス) @page49 id: 1fd309d1cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だっちゃん。 | 作成日時:2023年10月9日 21時