約束ですよ ページ17
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その後尋ねてみた所、Aさんは自分の顔が写る写真を撮るのは好きではないらしい。
自分に自信が持てないと彼女は言っていたが、俺は十分すぎるほど素敵な人だと思うんだけどなぁ。
「あ、イルカも見てみたいです!」
「じゃあ行きましょうか!」
彼女からの積極的な意思表示。
嬉しいし、とても可愛らしい。
ショーが始まるにはまだ時間があるようで、イルカは水の中を優雅に泳いでいた。
それを間近まで行って見つめる俺達。
イルカって確か、哺乳類なんだよな。
「幸せなんですかね?」
「幸せ…なんじゃないかな。食われないし」
「ああ、確かにですね」
目を大きくしながら彼女はうんうんと頷いていた。
いや、俺も適当に言ったんだけどな…。
「私、人の目が怖いんです」
「え?」
「へへ、やっぱりなんでもないです。行きましょうか」
俺の手を離れ、少し先を歩く彼女は、少し寂しげな様子だった。
堪らず俺は彼女の後を追いかけ、腕を掴んで引き寄せた。
「や…山田くん?」
「言ってください。何でも」
「あの、本当に…」
「ちゃんと言ってくれないと俺、Aさんを守りたくても守りきれないです」
彼女は顔を伏せながらしばらく考えていた。
そして、俯いたまま「分かりました」と呟いた。
「ただ、少し待ってください。必ず後でお話しますので…」
「分かりました!じゃあ、約束ですよ」
「はい、約束です!」
小指を立て、彼女の前に差し出すとAさんは少し笑いながら俺の小指に指を絡めた。
一通り見終わると、今度はお土産売り場へ向かった。
俺は別に友達にプレゼントとかそんな歳でも柄でもないが、Aさんは女の子だし、何かあるかなと思って。
「この中で何が1番好きですか?」
彼女が指さしたのは、ミカンくらいのサイズのマスコット付きのキーホルダー。
定番のイルカやカワウソ、サメ、クジラ、ペンギンの他に何種類かの魚も確認できた。
どれも皆、子供が好きそうなおっとりとして可愛らしい顔をしている。
「うーん、どれだろ…。あ、これかな?」
子供の頃の俺だったら真っ先にサメを選ぶだろうが、俺はフグを選んだ。
「あ、フグなんですね。てっきりサメかエイにするかと思いました」
「そ、そんなに俺って子供っぽいですか?」
Aさんは何も言わずに首を横に振り、俺の選んだフグとジンベイザメを手に取った。
「よかったら付けませんか?これ」
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作者名:L | 作成日時:2021年12月11日 10時