仮恋人〜折原臨也〜

平和島静雄の憂鬱 ページ38

静雄サイド

「楽しかったですねっ！おいしかったー！」
Aが笑って言う。相変わらず、可愛い。

でも、俺はこのままいる事で傷つけないかすごく心配だ。

でも、その代わり俺はコイツを外敵から守れる。

そんな複雑な思いが頭を巡った。

駅まで送っていく。

「それで？今日は何のようだったんだ？」

「えっ……」

急にしどろもどろしだすA。

「ノミ虫……いや、臨也のことか？」

「！？」

過剰な反応したってのは当たりってことか。

全く、どこに惚れたんだか。

あんな、他人の不幸は蜜の味。とか抜かしそうな男のこと。

悔しい話、アイツより顔も良いとか、女のツボを抑えてるとかない。

でも、あんなペテン師よりも愛してやれると思う。

でも、それはこいつが決めることだ。

俺が強要することじゃない。

「静雄さんって、かっこいいですよねっ！」

！？

急に何言ってんだ？

「背とか高いし、力持ちだし、頼れます！」

あまり持ち上げんな。

我慢して笑ってんの大変なんだから。

「そうかよ」

そっけない返事で終わらせた。

――つもりだった。


のに、理性ってのは簡単になくなるもので。

もう別れようかというところで。


ﾁｭ


キスしてた。


Aは呆然としてたけど、誰よりも驚いてるのは俺自身だ。

「悪ぃ、じゃあな」

自分でもわかるくらいぶっきらぼうに言って歩き出した。

顔が熱い。

臨也のやついねぇよな？

臭くねぇから大丈夫だろうが、あまりAとは会わねぇほうがいいな。

俺のせいで臨也とあいつの溝ができるのは嫌だ。

ノミ虫は心底どうでもいいが、汚い手を使ってAに迷惑は掛けたくねぇ。

思い通りにならねぇもんだな。

畜生。









畜生っ！

本気にさせないでよ→←しーずおさんっ！

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