満月と嘘

罪。 ページ5

sakuranbo.side

どうしよう、仁、メールに既読全然つかないっ！！

いつもは、送ってきたらすぐ読んですぐ返してくれるのに。

いや、すぐ返そうとするけど、文字打つの遅いから、…。

授業中何度も何度もスマホを見る。

既読のきの字もつかないなんて…。

絶対おかしい！

3時間目の授業が終わると、速攻でしゆの教室へ。

「しゆっ！！」

ガラガラ、ダンッ！と、教室のドアを開けると、しゆの担任の先生がビックリした顔で私を見た。

でもそんなの気にしない。

こりゃ緊急事態だよ！！



siyu.side

おっかしいな、やっぱ、既読来ない。

そんなに体調悪いのかな？

昨日何があったの？

授業が終わり、またスマホの画面を見つめる。

じっ……と見つめる。

すると。

ガラガラ、ダンッ！

ひぇ！

何だ、一体！！

「しゆっ！！」

さくらんぼ！？



zin.side

「寒っ…。」

まだ９月５日だぞ、寒すぎないか？

連絡とりたい。

既読は出来てもメールは送れない。

ここ、圏外なんだよ。

電波が伝ってこない。

それどころか、空気も薄くて、苦しくなって…。

既読スルーが俺一番嫌いなんだけど。

「しゆ、さくらんぼっ…。」

今すぐ助けに来てほしい…っ。

誰か、誰か！


ゴゴゴゴゴンッ！ガコン！

………え？



sakuranbo.side

「どうしよう、既読つかない！どこにいるのっ！！」

「落ち着いて、安心して。保健室にいるはず。体調悪いから、スマホも見れないんだよ、きっと。」

「だって電話しても電波が届かないか、電源切ってあるって言うんだよ！」

「とりあえず保健室！」

しゆがそう言う前に、１階へ続く階段を駆け下りた。

「すいませんっ！」

ガラガラッ

「はい？ど、どうしたの？」

顔面蒼白の私を見て、保健室の先生は驚いて私を見た。

「あのっ、仁くん、来ましたか？」

「仁くん？あ、２組の仁くんね。」

「いますか？ここに。」

「来てないけど…。」

え……。

う、そだ。
嘘だ！

「すみません、ありがとうございました…。」

棒読みで返事をしたあと、保健室を飛び出した。

すぐそこの正面玄関から外へ出る。

キーンコーンカーンコーン…と、チャイムが鳴る。

誰もいない校庭。

綺麗に飾られている花は、どれも色が映え、咲きまみれていた。

落ち着くんだ、私。

仁は、きっともう元気になって教室に戻っているはず。

そう、きっと。
気づかぬうちに涙が溢れていた。
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続きしゆ御願いします！

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