第四十話(6) ページ43
迷う心はいつもある。
もし、あの時。
何もかもを奪われ、生きる術を失った。
過去を憎み、この手を汚した。
迷いに揺れ、己の中の何かを失い、生きる術を手に入れた。
そんな幼きあの日に、迷い揺れたあの日に、彼女のように見失った何かを気づかせてくれる人がいたならば。
彼女のような人が側にいたのなら。
この迷い続ける心は、何かが違ったのだろうか。
「…貴女でよかった」
忍術学園に来てくれたのが。
己の過去に震え涙するきり丸を抱きしめてくれた人が。
迷い、悩む八左ヱ門に言葉をかけてくれた人が。
自分が見つけられずにいた、求め続けていた言葉を紡いでくれる人が。
貴女で、よかった。
「え?」
ほぼ独語のように零れた半助の言葉は鈴の耳には届かなかったようで、鈴は半助を振り返り、小首を傾げる。
その仕草は先程までの落ち着き大人びた雰囲気とは異なり、どこか可愛らしい。
「ふふ、何でもありませんよ」
首を傾げてこちらを見る彼女に、半助は一つ小さく笑って、そう返したのだった。
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ししゃもん(プロフ) - 千里丸さん» コメありがとうございます!同じ好みの方がいて嬉しいです!引き続き頑張ります!今作品が終わったら別キャラの忍たま夢にも挑戦する予定でいました。加えてシチュのリクもありがとうございます。できうる限りご期待に添えるよう取り込みたいと思います! (2019年4月1日 23時) (レス) id: 2f089d0de5 (このIDを非表示/違反報告)
千里丸 - 二度コメ失礼します。希望としては、夢主と男装夢主が同一人物であることが土井先生より先に誰か(以下A)にばれてしまい、秘密を守ってもらうためAと話すことが多くなってしまい、土井先生が嫉妬…みたいな展開が見てみたいです。ご検討いただければ幸いです。 (2019年4月1日 9時) (レス) id: 1ee468ee2e (このIDを非表示/違反報告)
千里丸 - 忍たま夢小説では数少ない作りこまれた設定、大好物です。睡蓮さんの考えるお話の設定はすごく好みなので、この小説が終わったら、忍たまの別キャラでも書いてほしいです。ご検討いただければ幸いです。とりあえず今は、「花菖蒲と蓮華草」を頑張ってください! (2019年4月1日 9時) (レス) id: 1ee468ee2e (このIDを非表示/違反報告)
睡蓮(プロフ) - たまさん» ありがとうございます!糖度低めのお話ですが、胸キュンしてもらえて嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2019年2月21日 11時) (レス) id: 2f089d0de5 (このIDを非表示/違反報告)
たま - 土井先生の夢小説を求めて辿り着きました( 〃▽〃)これからも胸キュンストーリーを楽しみにしてます! (2019年2月21日 0時) (レス) id: 01fbcb5691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ししゃもん | 作成日時:2019年2月9日 13時