向けられる憎悪 ページ31
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「くそっ……!」
辺りに人がいないカルデアの一室で、その人物は苛々とした様子で呟いた。
「なんで、何であんな平凡な奴ばかり…。
僕の方が何倍も優秀なのにッ…!!!」
彼は送られてきた候補生の一人であり、最初に数多くの英霊の殺気に当てられて腰を抜かしていた男だった。
あの時彼は英霊達の目の前で立香を見下し、侮辱をした。
しかしそれに対する謝罪はしなかった。
何故僕が恨まれなくちゃならない?
僕は優秀な魔術師で、彼奴はただレイシフト適性があっただけの凡人。
魔術については空っきし。
明らかに僕の方が上である筈なのに。
頭にこびりつくその考えと高いプライドが、彼から『謝罪をする』という選択肢を消したのだ。
とは言え、そんな事をする人間に英霊達が素直に従う筈もなく、当然ながら彼との仮契約を承諾するサーヴァントは0。
加えて他の候補生達が契約したのであろうサーヴァントと歩いているのを見かけ、それが更に彼を激情させていった。
「違う、こんな筈じゃない…!
早く契約をして、彼奴よりも僕の方が上なんだと証明してやらないと…」
苛々を隠しきれないまま廊下に出たその直後、恐ろしく巨大な気配を感じた候補生は思わず足を止めた。
……否、『動けなくなった』の方が正しいだろうか。
「っ……」
前から現れたのは、一匹の狼とそれに跨がる首なしの騎士___アヴェンジャー、ヘシアン・ロボだった。
カルデアの廊下の殆どを占領するような狼の身体の大きさと纏う覇気は凄まじい。
ロボ「グルル……」
「ーーーーッ!!」
候補生を視界に入れた途端、ロボは殺気を駄々漏れにして低く唸る。
一瞬でブワリと全身に鳥肌が立ち、『これに関わってはならない』と頭の中に警報が鳴り響く。
だが、候補生は羨まれたいが為に、ある一つの考えを思い付いてしまった。
「(このサーヴァントと契約をすれば…)」
候補生はごくりと唾を飲み込み、未だ此方を睨んでいるロボにゆっくりと近付いていった。
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こし餡の信者 - わんさん» 勿論ありますよ! (2020年4月21日 15時) (レス) id: bfa5138b88 (このIDを非表示/違反報告)
わん - これは参がある感じですか? (2020年4月21日 2時) (レス) id: 8dc334f6e1 (このIDを非表示/違反報告)
こし餡の信者 - レインさん» 返信が遅くなり大変申し訳ありません!一気読みしていただけて嬉しいです^^ 中々更新が出来ずにいますが、完結はさせるのでお待ちいただければ幸いです! (2020年4月9日 23時) (レス) id: bfa5138b88 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 最近一気読みしたものです。コロナウイルスなどで大変だとは思いますが、更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月2日 22時) (レス) id: d7281daec0 (このIDを非表示/違反報告)
こし餡の信者 - レイさん» ありがとうございます!そう言っていただけると作者冥利に尽きます!更新もボチボチ頑張らせていただきますね! (2019年12月4日 23時) (レス) id: bfa5138b88 (このIDを非表示/違反報告)
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