悲しき記憶 ページ36
グニャリと辺りの景色が変わった瞬間、目の前は悲惨な事になっていた。
至るところでは炎があがっており、家そのものが崩れてしまっている所もある。
記憶の中であるからか、俺は臭いとかは何も感じないけれど、予想は簡単についた。
__そうだ、あの二人は……?
そう思って回りを探すと、少しだけ離れた場所に見覚えのある後ろ姿を見つけた。
………あれは、ディアロさん?
「オリビエ……?オリビエ!!」
叫びながら駆け出す彼の後を追う。
辿り着いた先には一軒の小さな家があり、しかしそこも無惨に潰れてしまっていた。
この家……まさか此処は彼女の…!
その予想は当たっていたようで、ディアロさんは顔を青くしながら必死にオリビエさんの名前を呼んでいた。
すると、瓦礫の山から彼女のものであろう声が聞こえる。
「オリビエ、オリビエ!そこにいるのか!?
いるなら返事してくれ!!」
「……ディ、アロ……」
「!!、オリビエ!
待ってろ、今瓦礫を退かすから…!」
ディアロさんは瓦礫の下敷きにされているオリビエさんを見つけると、すぐに瓦礫を退かそうとし始める。
俺は咄嗟に手伝おうと手を伸ばすけれど、その手はすり抜けるだけで瓦礫を掴む事は出来なかった。
「大丈夫だよ、オリビエ。
すぐに助けるから!……ぐっ…!」
「…ディ……アロ…。
貴方と過ごした日々は……とても楽しかったわ…」
「オリビエ…?」
「……もし、願いが叶うなら…もっと貴方と、一緒にいたかった……」
「オリビエ……駄目だ、オリビエ!
頼む、僕を置いて行かないでくれ…!
君がいなくなったら、僕は……!」
ディアロさんがオリビエさんの手を握って呼び掛けるも、彼女はだんだんとその瞼を下ろしていってしまう。
「嫌だ、オリビエ!!
………………オリビエ……?」
動かなくなってしまった彼女の手が、ディアロさんの手から滑り落ちる。
呆然と絶望に駆られた彼の瞳からは、絶えず涙が流れ落ちていた。
「あ、あぁ……そんな………何で……どうして彼女が……こんな……あぁ、あぁ…」
ディアロさんはブツブツと呟きながらうずくまってしまう。
そんな彼を、俺はどうする事も出来ずに黙って見ているしかなかった。
130人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こし餡の信者 - めろん(。・ω・。)ぱんさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!!そのコメントだけでご飯三杯いけます← 近々続編も出しますので、宜しければそちらも宜しくお願い致します! (2019年6月24日 6時) (レス) id: 087b770101 (このIDを非表示/違反報告)
めろん(。・ω・。)ぱん(プロフ) - とっても面白かったです!更新待ってます! (2019年6月22日 12時) (レス) id: 5a20f4b02f (このIDを非表示/違反報告)
こし餡の信者 - かなとさん» あああああああすみません!!外すの忘れてました…!教えてくださりありがとうございます!本当にすみません! (2019年5月20日 9時) (レス) id: 68e7808bec (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 作品を作る前にまずルールをご理解下さい (2019年5月20日 5時) (レス) id: 6ffb43edd5 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年5月20日 5時) (レス) id: 6ffb43edd5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ