青空～あの日あいつに出会った～ (ページ12)

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プールに戻る。ページ12

友人から逃げてきた私。
外は雨だっていうのに傘もささずに。
友人を家に置いてきたから友人は私の家で待つことしかできないのだろう。
鍵とか渡してないから。
行く場所もなく、足だけが動いた。
たどり着いた場所は―――…
「…なんできちゃうかな」
“学校のプール”
いつもみたいに入って、そのまま中に入る。
当然誰もいなく―――…
「え」
目の前にはさっき話の話題になっていた人。
赤い傘をさして、ポツンと一人でいた。
「あの」
話しかけると彼は驚いたようにこっちをみた。
あ、私…傘さしてない…。
相手の傘を見て自分がさしてないことに改めて気づく。
「…使う？」
「先輩が濡れちゃうじゃないですか」
「そうだけど…相手が濡れるのはヤダ」
「じゃあ私帰ります」
「ちょ、ちょっと待ってよ！」
止められる。
さすがに冷えてきたのだろうか。
鳥肌が立ってきた。
「寒……」
「使ってよ」
「先輩が言ったとおり、私だって相手が濡れること嫌なんです」
それでも傘を差し出してくる彼。
肩は濡れ始めていた。
これじゃあ二人ともずぶ濡れだ。
「じゃあ…二人で使いましょうよ…私は先輩が濡れるのは嫌ですし、先輩は私が濡れるのは嫌なんでしょう？」
「…そうしよっか」
先輩は私に近づき、傘をさしてきた。
なんでこんなに優しいのだろう。
「ありがとうございます」
「いーえ」
身体は冷えているのに、
心はあったかくなった。