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「いつから付き合ってたの?」
「んー、2年前くらい?」
「ほー、結構長いな。俺の知ってる奴?」
「知らない人。普通の人。」
学生の時は、2人とも小さいコミュニティの中に居たから、
お互いがお互いに知っている人と付き合っていたりしたが、
もうこの歳になるとお互いのプライベートは知らない。
「原因は?」
「何考えてるか分かんないって言われた。」
「まあ、それはそうだろ。
お前のことを理解するのは相当難しいと思うぞ。」
「仕事とプライベートは違うっつーの。
しかも2年も一緒に居てその理由?みたいな。
どうせ、飽きたとか、他の女ができたとか、そんな感じでしょ。」
「おいおい、投げやりになるな。」
俺もかれこれ出会って10年くらいになるけど、
マジで意味が分からん時がたまにある。
まあ、それがこいつのいいところでもあると思っているけど。
友人、同僚の関係でこれだから、恋人、パートナーの関係で、
意味が分からんことが続くとストレスなのか?
「まあ、しばらくしたら忘れるだろ。
そんな正月に振ってくるような最低なやつ。」
「もう30も目前なのに、未練無いわけないでしょ。
女のこの2年間って相当でかいんだよ。」
「へー、Aにもそんな感覚があんだな。」
「何それ、私、一般人ですけど?」
仕事場では、インテリが多い中、
自由奔放で世間の一般常識的なものが
当てはまらないようなタイプの人間であるから、
そういう感覚が無いのかと思っていた。
「はー、マジで腹立ってきたわ。
今からもっかい文句言いに行ってやろうかな。」
「やめとけ、やめとけ。」
「まあ、こんなだから振られるのか。
でも、おしとやかになんかできないよね。」
「おしとやかなんて、
お前の1番対極にあるような言葉だもんな。」
「おい。」
軽いグーパンチが飛んできて、少しいつもの感じに戻る。
もう一度新しいティッシュで、涙を拭いて鼻をかむと、
ごそごそと立ち上がった。
「ごめんね、仕事してたのに。
お邪魔しました。」
「帰んの?」
「家に帰る以外に選択肢ある?」
「ここ、居たらいいじゃん。
あとで、晩飯でも食いに行こうぜ。」
結局やけ酒パターンが頭の中によぎったから、
飲みにではなく、食べにと誘った。
「さんきゅー。」
珍しく素直に、小さくお礼を言うと、
またそこに静かに座り直した。
「何の原稿書いてんの?」
「これは…」
結局その日、仕事は進まなかった。
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作者名:琥珀 | 作成日時:2024年2月5日 2時