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オフィスを出ると、急にデートという現実感が押し寄せ
昨日悩んでいたことが、嘘のように気にならなくなる。
気になるのは、ふくらさんがどんな顔して歩いているのかと
私はどんな顔をして歩けばいいのかということ。


「1こ、よさそうな店見つけたんだよねー。」


スマホを触りながら歩いていたふくらさんが
急にぐっと近くに来て私にスマホを見せてくれる。


「ちょっと早いけど、お昼ご飯でいいよね?」
「そうですね。朝早かったから、お腹すきました。」


そのまま、スマホの画面を操作して、
地図アプリに切り替えると、よしと気合を入れる。


「俺たちの場合、ここにお昼ご飯時に
 たどり着けるかがまず第一の問題だよね。」
「それは、さすがに大丈夫だと思いますけど。」


私も、地図を見せてもらって、
到着予想時刻を見てみるが、そこまで遠くない。
道を尋ねるのが得意だというふくらさんに
主導権をゆだねて再び歩き出した。



「朝、何時に起きたの?」
「ん−、5時くらいですかね?」
「5時!?やっぱり全然寝てないじゃん。」
「いや、目覚めちゃったんですよ。眠れなくて。」


理由は、このデートのせいなのだけれど、
ふくらさんは真剣なトーンで返してくれる。


「やっぱ、新しい人のこと、心配?」
「あ、いえ。大丈夫です!
 昨日色々言っちゃってすいません。
 今日は全部忘れて楽しみたいなって思ってます。」
「そっか、ならいいんだけど。」


ちらっとふくらさんの方を見ると、
いつもの微笑みがあって少し安心する。

しばらくの沈黙。


「なんか、緊張します。」


何か場を繋げようと、口にした言葉は、
自分の本音がぽろっと出た結果になった。


「んー、きっとね、それは俺も同じ。」


あははと手を口に当てて笑っている
彼からの言葉は意外なものだった。



「ふくらさんも緊張するんですね。」
「緊張くらいさせてよー。」
「数々の修羅場を潜り抜けて、鋼のメンタル持っていそうな
 勝手なイメージです。」
「それは、勝手すぎるなー。」



全部笑って返してくれて、穏やかな時間。



「あ、ここじゃない?」



この前のご飯のときとは違ってスムーズにお店に到着する。
思わず、賛辞の拍手を送った。


「上出来だね。まあアプリのおかげだけど。」


照れ臭そうに笑うふくらさんの後ろをついて
お店に入った。

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作品ジャンル:恋愛
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00kohaku00(プロフ) - おれんじじゅーす。さん» こちらこそ、リクエストありがとうございました。ko考察第2弾も考えてます!お楽しみに。 (8月2日 2時) (レス) @page6 id: dd8212c960 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじじゅーす。(プロフ) - koちゃん視点面白かったです!!リク応えて下さってありがとうございます😭 (8月2日 1時) (レス) @page7 id: 7f991e8d5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:琥珀 | 作成日時:2023年7月26日 7時

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