１６ ページ16
〜fkr side〜
昨日の会議の疲れが出て今日はぼーっとする。
何とか電車に乗ってオフィスに出勤したが
頭が働かないので潔くソファへ移動する。
今日の午後はオフィスの外で撮影があるから
それまで仮眠と知識を入れる時間にしよう。
ソファにはぐだぐだとたくさん人が集まってきた。
雑談をしながら午前中を過ごした。
お昼すぎ、誰かが呼びかけて
撮影班はオフィスを出ることになった。
荷物をまとめるためにデスクへ行くと
隣にAさんの姿がなく
代わりに覚えのない付箋が目に入った。
考える間もなく
それが彼女からだということがわかって
にやけてしまう自分がいる。
それだけで昨日の疲れが吹き飛ぶ単純な自分。
「おーい、ふくら。みんな行っちゃうよ。」
河村の声で我に返る。
「あ、ごめん。ちょっとトイレ。」
「え？このタイミング？」
「待っててもらえると、嬉しいんだけど。」
「そりゃ、そのつもりだけどさ。」
急いでお手洗いを済ませてデスクに戻ると
Aさんが珍しく手作りのお弁当を広げていた。
呑気にそのお弁当に反応していると
彼女は俺の方向音痴を案じてか
オフィスを出るように急かしてくる。
俺と河村とAさん、3人で笑い合う。
幾度目かのこの光景。
恥ずかしそうにでも楽しそうに笑う彼女の顔が
胸をむずむずさせる。
時計を見ると本当にギリギリの時間になっていたので
河村と2人手を振ってオフィスを出た。
河村の半歩後ろを歩きながらスマホを触る。
「仕事中に私情挟んじゃだめでしょ。」
「え？」
「口元緩んでるから。」
「そんなことないと思うけど。」
冗談混じりの指摘を受け流しつつ
さっき言いそびれたお礼をAさんへ送る。
「ふせん、ありがとね！
疲れ吹き飛んだよ。」
すぐ既読になって返ってきたメッセージ。
「いえ、昨日のお礼です。
みなさん今日お疲れでしたね。」
河村の言う通りきっと今口元緩んでるんだろうな。
メッセージを確認するとすぐにもう1件
画像が送られてきた。
綺麗な富士山の写真だった。
彼女がなぜこの画像を送ってきたのか考えていると
またメッセージが入った。
「須貝さんからのお土産のおすそわけです！
撮影頑張ってください！」
さっきの胸のむずむずはすぐに掻き消され
嫉妬心みたいなものが湧き出てくる。
いや、俺がそんなことを思う立場ではないんだけど。
でも、須貝さんとそんな連絡取り合ってるなんて。
ちょっと、ずるいな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 144人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
00kohaku00(プロフ) - おれんじじゅーす。さん» こちらこそ、リクエストありがとうございました。ko考察第２弾も考えてます！お楽しみに。 (8月2日 2時) (
レス) @page6 id: dd8212c960 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじじゅーす。(プロフ) - koちゃん視点面白かったです！！リク応えて下さってありがとうございます😭 (8月2日 1時) (レス) @page7 id: 7f991e8d5d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：琥珀 | 作成日時：2023年7月26日 7時
