一『夏だから怖い話をしようか』 ページ9
『………………』
下校中俺は花を見た。その日は轟君の用事があるから俺一人で帰ってた時だ。何時もの何気無い帰り道を歩いていたらアスファルトの隙間から逞しく咲いてる美しい青色の花。
ここまで綺麗に咲いてる雑草は始めてみたから思わず近くに歩いて行った。じっーと見詰めてると風が吹いて花が揺れた。ゆらりと揺れる花は何処と無く気味が悪かった。
「ねえおにいちゃん」
後ろから声がした。舌ったらずの子供の声俺は後ろを振り返った。男の子の髪はそよそよと揺れて甘い花の香りが辺りから漂ってくる。
「ぼくぼくねあのねおにいちゃんぼくねぼくぼくぼくぼクさボクぼくねあのね、おにいちゃんボくと来て」
花の香りが強くなってくる。甘い匂いが頭の中に直接入り込んでくるようなくらくらする男の子が近付いて来る。
「おにいちゃんおにいちゃんぼくとボクとぼくトボくぼくぼぼぼほくくくぼく」
男の子の手が俺の手首を掴んで引っ張ってくる。その表紙に俺は鞄を落としてしまった。甘い匂いが頭を混乱させる。そのまま男の子と道を歩いていくと遠くから楽しそうな声や祭りの音が聞こえる。何だか自分が地面に立っている感覚すら分からなくなって来た
「おにいチャんたの、たののしあたのしいいねぇえおにいちゃンオニイちゃんたのしああい」
男の子は何が楽しいのか口を耳まで裂けさせて笑った。男の子が笑う度に甘い香りが強くなって俺も楽しくなってくる。楽しいな楽しいな楽しいな綺麗だ。嬉しそう楽しい
俺が頬を緩めて男の子の手を握り返した。その手は冷たかった。
男の子が一歩歩く度に景色は都会から獣道に代わり砂利道に代わり辺り一軒の家に付いた。かなり古い造りだが立派だった。ふと男の子を見ると頭の上にはふわふわした耳が生えていた。何だか狐みたいだ。
「きゅう」
さっきまで人語を発してた口はもはや人間では理解できない言語を発していた。俺の手を握る腕は無くなっていた。
「きゅぅ……ゅう」
『うんうんうん』
俺の意思は関係無く首は勝手に合図ちを打つ。辺りには狐が人間のように着物を着て居て俺には理解できない言語をひたすらに喋り酒を飲んだりしていた。また甘い匂いがする強くてくらくらする。
いしきが…と……おく…………………
二『夏だから怖い話をしようか』→←番外編『焦凍兄ちゃんは俺の嫁です！！！』
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作者名：なめ茸 | 作成日時：2020年8月19日 9時
