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「ッ、センセー!!今Aちゃんがぁ、ジュース溢したのはアタシのせいだって、」




口角を上げてニヤリと私を睨んだ女子は、睨んだ後手の平で顔を覆い、聞くに堪えない演技の嗚咽を漏らし始めた。それを聞いた担任は相当騙されやすいのか、それとも女子を黙らせる為か私を怒りの形相で睨み唾が周りに飛ぶ程強く怒鳴った。



「お前は何て奴だ!!一人間として恥ずかしくないのかッ!!反省するまで教室に入ってくるんじゃないぞ!!!!」



反省するまで教室に入ってくるな、と言う担任は廊下に出るまでずっと私を睨み付けていた。廊下にそそくさとへらへら笑いながら出れば、多少はその後も睨み付けていたものの教室の中で「あんな奴にはなるなよ」っとクラスを一蹴するように叫んだ。
そこまであの女子が怖いのか。意気地無し。

教室の反応は様々で、あの女子のように小さく小さくクスクスと笑うものや気まずさに目を泳がせるもの、余りにも可哀想だと同情するもの。
同情する人が一番質が悪い。同情するなら助けてくれたって良いじゃないか。
面倒事には巻き込まれたくないんだろうな。そう思うしか、私には出来なかった。



















「───で、───────が、」




小さくボソボソと教室内から聞こえる鬱陶しい声を聞くのはもう飽きた。今まで大人しく廊下に立っていた私を褒めて欲しい。反省するも何も、反省することが幾らでもあるせいで反省してもしきれない。

生まれてきて御免なさい。
生きてて御免なさい。
死ねなくて御免なさい。
自分勝手で御免なさい。

言い出したらキリが無い。





『……どっか行こ、』




ふらふらと歩き出す足はいけない事だと分かっていてもどうにも止まらない。担任は気付いてすらもい
ないので、良しとして欲しい。







生徒用玄関を抜ければ、肌寒い風が吹いてくる。
半袖なんか着るんじゃなかったな。



『あ〜、さむ、』


肌寒さに身を震わせて、デニムのズボンについていたポケットに両手を突っ込みまた歩き出す。
デニムだからか最初は少しひんやりしていて寒さが増すばかりだったが、慣れてきて暖かくなると丁度良い暖かさが手を包み込んだ。

真新しいコンクリートの上を新しい白いスニーカーで歩くと、何だか気持ちが良くて足が軽くなったように弾む。


そう段々と歩く速度を上げて行けば、
足元にゴミが転がってくる。


目線を前に移すと見慣れない光景が目の前に広がった。











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作者名:YunA x他1人 | 作成日時:2022年10月5日 23時

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