恋占い、一回1000円。

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「それからね、Aさん」


優しく私の背中をさすりながら、
同じく優しい声で語りかけてくる。



「彼のこと、忘れようとしなくていいよ。

確かにあの男はサイテーだし、
俺は最初からあの男と居るの反対だったけど。


だけど俺、分かってるよ。

Aさんはほんとに彼のこと好きだったんだよ。


今は彼の嫌なところしか出てこなくても、
自分は男を見る目がないとか思わなくていいよ。

きっとAさんが好きだった彼は、
本当に素敵な人だったんだと思うよ。


だからねAさん、
Aさんは好きな人のために頑張ったんだよ。」


なんでもお見通しだ。


春樹の誘いにのった私はバカで、
あんな男と何年も一緒にいるなんて
時間の無駄遣いだったって。


だけど、彼は本当にサイアクだけど、
私は確かに彼が好きだった。


私は彼を想っているのに、
春樹から同じだけ愛してもらえることなんてなくて。

それが悔しいから、背を向けて、
さも自分は幸せであるかのように振る舞って。


一ノ瀬君がいなくても、
遅かれ早かれこの関係は終わっていただろうけど、

一ノ瀬君がいなかったら、
ちゃんと私が恋をしてたことには気づけなかった。

この経験をずっと引きずって、
もう二度と男の人を好きになることなんてなかった。

自分はどうせ、
ちゃんと交際することなんてできないって決めつけて。



「ありがとう」


一ノ瀬君のシャツをビショビショに濡らして、

それでも"ごめんね"じゃなくて"ありがとう"って言えた私は

前よりも自分に素直になれたのかな。





・

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