俺と君は。 ページ19
木々を貫き、俺や立綱、紫苑を苦しめた両手ならダメージを与えられるかもしれない。きちんとした実体でなければ掴めるはずがない。
漫画や、アニメでよくあること。しかし、それがあっているなんて自信はないが。それでも実行するしかない。
[石を投げる。何かを掴んだりできる腕と、地を捉える足。可能性はある]
[作戦とは言えないな。でも、僕らが逃げる手はない、だろ？]
察しが良くて助かるな。
縛りの呪いに関しても正しいデータがほしい。
[行くぞ。そろそろ紫苑が危ない]
[歩霧、疑ってすまないな。もしかしたら、疑ったから時戻りをしたのではないのか？]
外れだな。
良い洞察力はしているけどな。
俺が弱いから負けたんだよ。だから、次こそは。
近づく邪吐に対して、震える紫苑は最後の勇気を振り絞って小石を投げた。右腕に当たるとコツッと音がした。邪吐は顔のようなものを腕の方に向ける。それはつまり、
[腕なら食らう]
俺たちは足元の石を数個ポケットに詰めて足を踏み出す。
まずは一個目だ！
石を投射すると、左足にあたり音を立てた。固いもの同士のコツンという音。
[だ、だれ、、、]
紫苑の頬を涙が伝って、邪吐の手の輪郭が槍の形をとっていく。そのとき、俺が投げた石が左足に当たると、邪吐が顔の形のものを俺の方に向けた。
[かか。ささ。たた]
不気味な声。今度はお前が俺たちに潰される番だぜ。
[歩霧くん、立綱くん、どうして]
透きとおる声を聞くと、胸がずきりと痛む。
ちゃんと、紫苑に謝るんだ。
あと、俺のことをきちんと話したい。
[なな、はは]
銀色の手を槍にして高速で伸ばしていく。砕ける木々、石を拾いながら手足になげる俺たち、怯む邪吐。
[紫苑よくやった。隠れていていい。ここは僕と歩霧でどうにかするさ。ただ、一定距離からは離れられない。だな、歩霧]
立綱の指示を聞き取って紫苑はゆっくり腰を上げ、俺と立綱はアイコンタクトをとり、頷き合う。
[山神の使徒、
立綱はひどく息を切らして言葉にした。
[そんな呼び名があるのか]
そのとき、邪吐が両手を槍の形にして伸ばす。風を切る音とともに目の前の木が俺の方向へ落ちてくる。
視界に広がっていく巨木。いや、本来はそこまで大きくはない。それでも、風を押す迫力が近づく。俺は均衡を崩して足が安定しない。
スライディングをしようと滑り出したその時だった。みどりの光が壁を作り、足が止まった。落ちてくる木。
こいつ、もしかして。
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ゆい(プロフ) - norio117さん» いつでも返信します！評価、ありがとうございます！ (2018年8月2日 13時) (
レス) id: bf5077db51 (このIDを非表示/違反報告)
norio117(プロフ) - ゆいさん» ありがとうございます！ (2018年8月2日 13時) (レス) id: bd732d3351 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - norio117さん» 凄く引き込まれるようなお話でした。 また、文章とか分かりやすくて、素晴らしかったです、タイトルから話まで興味をそそる内容でしたので読ませていただきます。作品の申請お忙しい中、ありがとうございます！ (2018年8月2日 13時) (レス) id: bf5077db51 (このIDを非表示/違反報告)
norio117(プロフ) - オリジナルです。 (2018年7月18日 18時) (レス) id: bd732d3351 (このIDを非表示/違反報告)
米子(プロフ) - アイカさん» ありがとうございます。せっかくアイカ様にいただいたものなので、伝説に残るようがんばります (2018年6月27日 18時) (レス) id: fa2781bdc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海苔男 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.nori118
作成日時：2018年6月17日 22時
