俺と君は。�� ページ20
[僕は体育会系じゃないんだ]
立綱は落ちていく木を押すように蹴った。
なんとか木は軌道をずらして地につく。
立綱は息を切らして苦しそうだった。
[ほんとにごめん。邪吐の縛り能力は円じゃない]
体を持ち上げる。足元の石を拾った。手のひらにおさまる限界の大きさ。
[邪吐から等距離で縛っているわけではないか。なら、面積の可能性を疑うしかないな。縛る範囲が広ければより多くの生命体を縛り、狭ければ獲物が逃げれなくなる。どちらにもメリットがあるが]
立綱の分析力は高い。繰り返してわかったものを考えるだけで導くなんて。
[なんとかして倒すぞ。ダメージは確実に食らっている]
邪吐が手を槍にして伸ばすまでの時間がだんだん長くなってきた。大きく跳ばなくても避けることができる。
それに対して邪吐は石を食らって怯む。
__勝てる。
[ああ。がが、ざざ、だだぁぁぁぁぁぁぁ!!]
邪吐の低く響く叫び。耳がきんと痛む。
邪吐は顔の形のものをぐるぐると回していく。
その不気味さに俺たちは立ち尽くしていた。
邪吐は止まった。
草木が擦れる音がする。その方向へ邪吐は腕を尖らせて伸ばす。風を切る音とともに邪吐の腕が縮む。
[嘘だろ？ あれは血か？]
立綱の言葉を聞いて邪吐の腕を注意深く見ると、明らかに赤い液体が垂れていた。
誰かが刺された。そして、ここには俺と立綱。あとは紫苑しかいない。
下唇を噛んだ。血が滲み出る。鉄のどんよりとした苦味が広がっていく。俺は紫苑を助けないといけないのに。もう、意味ないな。だから、八つ当たりだ。
[邪吐、お前だけは殺す]
石なんかで我慢できるか。せめて一発、いや十発は殴る。俺は石をその場に捨てて走り出す。立綱がなにか言葉を発したが、内容までは聞かなかった。
[まずは一発！]
腕にストレートを決めると邪吐は倒れた。
[ががっ！？]
なにも持たず立ち向かってくるとは思ってもいなかったようで驚いているようだ。
[まだ終わりじゃな、、、、、]
その刹那だった。
邪吐が銀色の液体となって地面に染み込んでいく。邪吐は姿を消した。倒したのか、逃げたのか、それとも作戦か。俺には分からなかった。
[歩霧、後ろだ！ 逃げろ、邪吐がいる]
立綱の声を聞いて振り返ると、銀色の大の大人サイズの化け物が堂々と立っていた。
こいつ、もうわけ分からない。
液体になれるなんて反則だろうが。
[はは、まま]
邪吐が嘲笑しているように見えた。
タイミングをみて能力を明かした。知能があるのか？
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ゆい(プロフ) - norio117さん» いつでも返信します！評価、ありがとうございます！ (2018年8月2日 13時) (
レス) id: bf5077db51 (このIDを非表示/違反報告)
norio117(プロフ) - ゆいさん» ありがとうございます！ (2018年8月2日 13時) (レス) id: bd732d3351 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - norio117さん» 凄く引き込まれるようなお話でした。 また、文章とか分かりやすくて、素晴らしかったです、タイトルから話まで興味をそそる内容でしたので読ませていただきます。作品の申請お忙しい中、ありがとうございます！ (2018年8月2日 13時) (レス) id: bf5077db51 (このIDを非表示/違反報告)
norio117(プロフ) - オリジナルです。 (2018年7月18日 18時) (レス) id: bd732d3351 (このIDを非表示/違反報告)
米子(プロフ) - アイカさん» ありがとうございます。せっかくアイカ様にいただいたものなので、伝説に残るようがんばります (2018年6月27日 18時) (レス) id: fa2781bdc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海苔男 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.nori118
作成日時：2018年6月17日 22時
