192# 人それぞれ ページ42
▽
話し終えた良いタイミングで、優子さんと佐江さんが呼ばれた。私も
さっきからこっちを遠巻きにしている彼女たち。日焼け止めを塗ったとはいえ、帽子も被らずに日向にいるのは良くない気が……。
「Aかっこよかったよー！」
「なんであんなにポーズキメられるの〜！？」
片やウエスト周りがルーズなシルエットで、下腹をカバー出来る空色のタンキニをまとう友歌。そして、片やターコイズブルーのホルター・ビキニに、ウエストラインはフリルで覆われた凪沙。
私が撮影されるのも見ていたのか、合流して二人はいの一番に声を上げる。これには素直にありがとうを告げた、が。あ、………あれ？
「鈴子、まだ着替え中？」
「リンダはトイレに行ったきりだよ〜。それにね、ブツゾウも。もう始まるからってそなたは呼びに行ったけど、そのとき中から痛い〜って聞こえたの。でもね、大丈夫だから先に行っててって」
「？？」
……どういうこと？ 女の子の日、なわけないよね。そういう人は先に申告するように、とツバサさんも言ってたし。
それにしても、AKB命を掲げる鈴子なら私のように手間取ることなくすぐに気づいてくれそうだから。今の気持ち分かってくれると思ったのに。
何してるんだろう。道に迷ったとかじゃないよね？ 携帯もあるし、それはない。考えていると、凪沙が突然酷く驚いた声をあげた。思わずその方を見ると……
凪「真琴どうしたの！？」
織「お腹、へこんでる……」
友「しかも超巨乳……！」
彼「真琴って、こんなナイスバディだっけ……」
彼女は、群青色でチューブトップ型のビキニ。ウエストとバストに水平のラインができるから、バストをより綺麗に見せることができる水着だ。
形がどうとかの前に言いたいことがある。段差の関係で私たちが見上げているのに、トップからは何とは言わないがこぼれそうだ。しかもくびれまであるなんて。
彼方さんの正直な呟きに、全員が一切の戸惑いがなく首を横に振った。ドヤ顔で現れた真琴は伸ばしていた背筋を若干丸めて、いつもの調子で「失礼な！」と言う。その隣に、遅れてやってきた鈴子が並ぶ。彼女は何故か自分の胸元を手を持っていく。
「名付けて『すべての贅肉は胸である大作戦』です」
「わっ！ ネタバレするなぁ！！」
全ての、贅肉？
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年10月21日 14時
