ラピスラズリ④【0048】 (ページ24)

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▽(回想)

今の秋葉星は、芸能を愛している人にとって聖地とも呼べる場所。それなのに昔は『秋葉のアイドル』というだけで嫌悪感を抱く人もいたなんて、まるでDESのようだ。

待っていてくれる人がいない。それでもAKB48さんは努力をやめず、公演を重ねた。今日のお客さん、前回より一人増えていたね。その繰り返し。塵も積もれば山となる。

それから、どのような変遷でRIVERに辿り着くのか。私たちは再び耳を傾けた。

『結成から数年後の冬、契約していたレコード会社が問題を起こしてAKB48は打ち切られた』

『……それって、CDが出せなくなったってこと！？』

『うん。いつ曲を出せるようになるか分からない状態。その年はともちんが高校を卒業する年だった。将来を見据えてもあっただろうけど、彼女はもう……』

限界だった。その言葉が自分の中に落ちる。辞めさせて下さいの願い出。Pは以前から、板野友美さんが追い詰められていることを周知していたらしい。

そんな彼女に対してPはこう言った……「もう少しだけAKBを信じてほしい。前田を、高橋を信じてほしい」。前田はオリジナルあっちゃん、高橋はたかみなのこと。ともちん同様に齢14でAKB48第一期生で入った、同い年の二人のこと。

『AKBに入った途端に手のひらを返した元チームメイトや友人と、三年間一緒に泣いて来た仲間。二人の名前が出て、ともちんは自分がいるべき居場所に気づいたの』

『AKBで結ばれた固い絆、ですね』

『素敵なお話ですわぁ』

そんな板野友美さんに触発されて、Pは歌詞を書いた。彼女や同じように悩むメンバーに宛てたメッセージ。それが……1サビとラスサビの部分らしい。

メンバーの「辛い」「やめたい」から生まれた歌。更にRIVERはAKB48において初めてオリコン週間ランキングで一位を獲得。秋葉の外にも存在を少しずつ知られるようになっていった。………

▽

あと少し、あと一歩。ステージはもう目の前だ。

……なのに、私たちが憧れた場所との間には、運命の川が行く手を阻むように流れている。怯まずに進めばいい。諦めなければいつかは向こう岸に渡れるんだ。

自分が00を好きになったときと同じ感動を、この星の人たちにも感じてほしい。もらった愛は温かくてとても素敵なものだと知ってほしい。……それでも満足だと思っていた。

キララと目が合う。私、やっぱり、

「ステージに立ちたい」

たとえ。次のチャンスが、辛い試練の先にあっても。

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