175 :♪RIVER→支え ページ25
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しかしまあ。ついさっきまで医務室にいたとは思えないほど、キレッキレのダンスを披露するたかみなさん。だが……怪我が痛むんだろう。サビの終盤で倒れそうになったのを、優子さんが受け止める。
彼女が手を貸してパフォーマンスに戻った。声を揃えて1番が終わると、オレンジ色の花火が打ち上がる。今度は観客の方に散らばって歌うようだ。
自分に言い訳するな。やってみないとわからない。私たちは進むしかない。そう決めたんだ。
歌詞がドスドスと心臓に刺さるのがわかる。そうだ、これが00。芸能を愛する人全てに元気と希望を与えてくれる存在。
「彼方さん、空から新たに五機接近しています」
『……は、まずいっ！』
ライブを、メンバーを、観客を守る。私たちは待機していた橋の下から飛行し、己を役目を果たしに駆け出した。
派手に開演して、次の曲は『支え』。夜になる前に見た広場。静かなこの星に明かりが灯るように。また、それぞれの場所で頑張る私たちにも深く染みる歌だった。
仲間は、私たちはここにいる。この星空を一緒に見ている。離れても、みんなの心の中に残り続ける。想いは繋がっている。寒空の下だというのに胸はじんわり温かい。
襲名メンバーは曲の終わりには横に一列に並び、全員で手を繋ぐ。熱気と歓声を前にその手を挙げて大きく礼をした。
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ファンがいる方からは絶え間なくアンコールが聞こえる。一旦DESから身を隠すため、皆さんは指示されていた場所へ引っ込んだ。私と彼方さんは攻撃をかわし、無人機を迎撃。その後、襲名メンバーの元へ。
雪は今も、しんしんと降り続く。たかみなさんが膝をついているのが見えた。肩で息をしている。相当無理をしているのがLASの中からでも分かった。着陸した彼方さんは、たかみなさんの名前を呼ぶ。
私も外に出たとき、一瞬笑顔が見えた気がする。しかし急に立ち上がったせいか、セリーから転落してしまった。そんなに高さが無かったことが唯一の救いだ。雪上に投げ出された体に最初に駆けつけたのは彼方さん。次に、優子さんとゆきりんさん。
やっぱり、気のせいじゃなかった。
「ごめんなさい……っ！」
「え、A？」
「たかみなさん、熱があるんです」
機体から降りたら遅れて駆け寄る。私は知っていることを話すことにした。
開演前、たかみなさんが医務室を抜け出してきたとき。彼女に手を貸した私だから分かった。あのときには既に……。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年10月21日 14時
