495# 作戦開始 ページ45
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その頃、ベガスターの軍事要塞。77期研究生は、眉を「へ」の字にしたヒガシノの下で働いていた。友歌はデッキブラシを手にして清掃。腰に来る……と、思わずその場に膝をつく。キリキリやらないと終わらない。そう言われて「お、押忍っ」とすぐに再開する。
凪沙と織音は洗濯。カゴに山盛りに積まれた軍服をひたすら洗濯機に入れて回し、乾燥が済んだらアイロンをかけて畳む。やってもやっても終わる気配がない。
「すごい量だね……だぜ」
「だ、だな！」
「おら、追加や。チンたらやっとったら終わらんで〜」
「………うわ〜」
「すげー……ぜ」
ヒガシノによってまた洗濯物が運ばれてくる。彼はその後、鈴子と楚方に任せた仕事場へ。荷物の運搬だ。重い重いと言う二人を見てため息。筋肉がない細腕で、その手は震え、へっぴり腰まで。このくらいの荷物で苦戦して情けない。そこまで言われてしまう。
目の前の仕事を終わらせてから、次を指示するために集合をかけた。凪沙はタオルで汗を拭い、織音はへたり込む。友歌は四つん這いになって腰を押え、鈴子と楚方は膝に手をついて息切れしている。
「ほんま使えんガキどもやのぉ。仕事が終わるまで、晩飯は抜きや。……ったく、なんでワシがこんなガキどものお守りなんぞせなあかんのや〜い」
サル中尉め。悪態と、右手を拳にして殴るような仕草をしながらヒガシノは別の方へ行ってしまう。聞こえない距離になってから、楚方は「あのオッサンむかつく！」と言った。
凪沙は壁に寄りかかっていたが、きちんと足で立つ。小さくなるヒガシノの背中を見ながら「働くって大変だね」。彼女は今年で14歳。アルバイトの経験もない。労働というものを初めて行う。
食堂を営む友歌の両親や生計のために働く織音も。疲れた顔を見たことはなかったけれど。本当はこんなに負担があるものなんだ。理不尽であれば尚更。また知らないことを学んだ。
凪「あれっ、真琴は？」
織「そういえば」
友「どこ行ったんだぁ？」
鈴子が言うには、真琴はトイレ掃除。このフロア全ての便器を磨けと言われるのを見たらしい。凪沙たちの次の仕事もトイレ掃除だった。近くのお手洗いから順番に巡り、真琴を探す。
そして、見つけた……と思えば。
「オラオラオラオラ(ry」
友「どうしたんだ？ いつになく気合い入れちゃって、」
織「トイレ掃除、好きなのか？」
入口には清掃中につき立ち入り禁止の看板を置いている。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年7月13日 21時
