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それは心の中に留めることはできず、声に出てしまった。私も不味いとかヤバいとかは思わない。たしかに不自然な加入、ゾディアックと繋がっていること。疑う気持ちもわかる…………でも、さ。
俯く彼女に、みぃちゃんの何がわかるのだろう。今このとき、メンバーにも背中を向けて座る彼方さん。何も見ようとしていないじゃん。狭い視野の中で物事を判断する姿勢で何を言っても響かないと私は思う。
「それはありえません」
「なんでそんなことが言えるの！ ……Aは推しメンに肩入れしたい、庇いたいだけ。目を覚ましなよ！」
「…………」
あ。なんか、言い返すの面倒くさいって思っちゃった。
目を覚ますのは貴方だ。それも言わない。今の彼方さんには通じない気がする。言うだけ無駄だわ。諦めて、私を睨む彼女を無視することにした。視線を外し、ツバサさんを見やる。
「ツバサさん、私が知りたいことにも答えてください。……はっきり言いますね。みぃちゃんだけに責任を追わせるのはやめてください。私は貴方も、私たちメンバーを利用した時点で同罪だと思います」
篠「……利用？」
凪「え、なんのこと……？」
「…………ふう。ほんと、たいした観察眼ね」
図星。そう言うようにツバサさんと目線がかち合う。彼方さんとは反対によっぽど真摯だ。目の前の瞳を見れば逃げない意志を感じることができる。そして、彼女は認めた。
自分もみぃちゃんと一緒だから、と。
「私も……消えてしまったみんなを助けたい。Aの問いにはNOよ。私も、あっちゃんに会いたい」
「！ ツバサさん……」
「先聖センセイも、同じことを考えていたのかもしれないわね」
「先聖センセイも？」
「ええ。だから総選挙を復活させた。メンバーを競わせることで成長を促して襲名、……果ては新たなセンターノヴァを生み出そうとしたの」
会いたいと口にする瞬間だけ、ツバサさんは泣き出しそうに見えた。いつも隣にいた人がある日突然居なくなる。消える直前、ライブは大盛況だったはずだ。その落差も相まって……。ツバサさんが感じたことを私なんかが推し量れるとは思わない。
けれど、すごく辛くて、取り戻せるなら取り戻したい。私たちが秋葉星での日常をそうしたいと思うように。総選挙の開催も、バラエティに特化したゲリラチャンネルの開設も。
熱海星公演の後に変わった諸々は先聖センセイの指示。しかしツバサさんは、それをチャンスとした。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年10月22日 13時
