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憤慨っていうのは非常に怒ること。その様子が鬼をイメージさせるのか？ 何でも使われる漢字にはちゃんと意味がある。車がすぐに停止できる速度であることを徐行というが、訓読みをすると『
まあ雑談は横に置いて。フンギスターに鬼という字が入ることに、友歌は急にビビり散らかす。このぬいぐるみっぽい子はともかく。この星には鬼とも見えるような生き物が棲んでいるのか、と。
「なんで最初に言わないのよー！」
「今思い出したんだって。まあ分かってても言わないかもだけど。怖がらせたら生身で偵察なんか行けないでしょ」
「それは、たしかに……」
「ね。何も無かったんだし良いじゃん…………それに」
人の居住が無いような辺境というのは、時に間違った情報も伝えられてしまう。さっきも言ったけどイメージで語るとかね。それが口コミで広まり、勝手に想像される。
本当に鬼がいるかどうかなんて分からないでしょ。人聞きより、実際この目で見たり聞いたり触れた方が信憑性がある。植物に覆われるここの異様さは私も感じているが、更に不安を呼ぶような情報を与えるのが得策とは思えない。
秋葉星を追い出されてから何時間経った？ 携帯で見ればあっちはもう夜だ。13時に開演した定期公演。今日は二部制で、後半は研究生の出番が控えていた。そのため体力的にはあまり疲労はない。けれど、心はもうクタクタのはず。
「ただいま戻りましたー」
「私たちが最後だったみたいね」
「……んっ？ おりね、なにそれ〜」
「それが、わたしたちにも分からなくて」
凪沙と智恵理、楚方と鈴子のペアは途中で合流して帰路を辿ってきたらしい。これで研究生は全員帰ってきた。
楚方は持ち前の視力で名無しの生物を見つけ、いち早く食いつく。隣を歩いていた鈴子はそれをパシャリ。あ、画像検索。その手があったか。それなら私の代わりに友歌の問いに答えられるかもしれない。
……けれど、こっちも空振り。アーカイブにも繋がらないみたい。出てきたのは、この惑星の原生生物ということだけ。だろうな。それは言われなくても分かってた。
「あれ？ なに、その子」
「空から降ってきたんです」
才加さんだ。まりこ様も一緒である。
お二人の背後では、全てのテントが完成していた。そしたら研究生が密集しているのに気づき、様子を見に来たってところだろうか。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年10月22日 13時
