683# 告げ口厳禁 ページ33
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たかみなさんが通信した才加さん曰く、今はメイクルームに佐江さんと二人でいるらしい。床に転がった化粧道具をひとつひとつ拾って、元の場所に戻している……と。他のメンバーも艦内のあちこちに散らばり、見えるところの片付けに向かったらしい。
『衣装室はまだ見てないや』。ということで、私たちはそっちへ行くことにした。気がかりは案の定、ハンガーから滑り落ちている衣装が多数ある。このままでは変な皺ができてしまうだろう。そのため一着ずつ拾い、埃などがあればはらってから掛け直す。それを繰り返した。
ツバサさんの指示では、研究生は付近の捜索か。周りに何があり、どんな危険に晒されるかわからない。二人一組で行動しようと彼方さんから提案される。それもそうだね。でも、それだと一人余っちゃうね。
……と思っていたら、今度は楚方から。葵平先生が人数合わせで入ってくれるらしい。待機中のLASも無尽蔵ではない。もっと言えば、つい先程一機は使い物にならなくなってしまった。生身だが力不足ということはない。もしペアになれば頼もしいことこの上ないだろう。
「A行かないの？」
「行きますけど少し待ってください。今、頭フル回転して言うか辞めるか考えているんで」
「「？」」
一点集中している私を見て、三人が首を傾げていたことは知らない。あ〜……どうしよっかな。悩んでいる時点で口に出した方がスッキリするって分かってはいるんだけど。今となってはそこまで怒ってるわけじゃないし。
相手に嫌な思いさせるかもって思ったらこのまま我慢するのも全然アリ。………でもなぁ。私、記憶力が良いから。悪いことも中々忘れられない体質だったりする。このモヤモヤだって簡単には消えてくれないだろう。うーん、どうしよ。
私は数十秒の間、考えに考え抜いて心を決めた。やっぱり我慢するのってよくないと思う。引きずるなら、しっかり弁明した上で伝えよう。終わり良ければ全て良しは、私には難しい。
「佐江さん」
「え、私？」
「はい。今からクソ生意気なことを言います。けど私はもう別に微塵も全然まったく怒ってないので、誤解しないでください」
イラってしてるじゃん。横からたかみなさんがツッコミ。佐江さんは私から思ってもなかったことを言われ、少し及び腰だ。ごめんなさい。これからもっととんでもないことを言います。
絶ッッッ対、ここにいない人へ言わないでね。特に恵さん。知られたら100%怒られるから。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年10月22日 13時
