681# 当時のツートップ ページ31
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メンバーは出払うため艦内の片付けを引き継ぐように言われるみぃちゃんさん。……すると、やる気は途端に急降下。「えぇ〜……」と嫌そうな声をあげた。
何でもするんでしょう？ さっきの言葉に二言はないわよね、というようにツバサさんに続けて言われたら、仕方なくも了承した。ちなみに、その傍らでくすり笑う葵平先生。彼女にはメンバーと共に外へ出る許可が降り、みぃちゃんさんは「ずるいずるい」と言っている。
「きたりえは、もう少し休んでた方がいいかも」
「そうですね……」
反対側のベッドに横たわるきたりえさん。熱を測った体温計を、鈴子の三角巾をほどいて再度傷を確認するゆきりんさんに見せる。いい顔をせえへん。まだ、完全には下がってないらしい。きたりえさんはお二人に「すみません……」と謝罪を口にする。
謝る必要なんてない。きたりえさんはなんも悪くないのに。まゆゆさんにとってはこの船に乗っている人全員が後輩にあたる。ベッド脇の棚から清潔なタオルをひとつ出し、きたりえさんの汗を拭いた。
……動けない。されるがままのきたりえさんに声をかけたのは先生だ。
「北原。じゃあ、みんなが留守にしてる間は美果子と通信繋いで話してたらどう？ 誰もいなくなったら色んなこと考えちゃうでしょ」
「ん？ あたしは全然いいよ〜。ひとりで黙々片付けるより話し相手がいた方が気楽だしね」
「こんなときに言うのが正解か分からないけど、私……総選挙の中継見てたんだ。北原、あと一歩だったじゃん。私たちが生きた世代と今は違うけれど、選抜経験のある先輩の話は聞いて損ないと思うよ」
みぃちゃんさんは、あっちゃんの前のセンターノヴァだ。うちより歳下なのにしっかりしているAの推しメンでもある。研究生になった頃はあのAが、目を輝かせて『みぃちゃんのことが知りたい？ え、いいよ！ えーっと、まず何から話そうかなぁ』と楽しそうに語り始めたり。
00を卒業した先輩本人と話せるのも、話を聞けるなんて貴重だ。うちも聞きたいなって、ちょっとだけね。鈴子なんかは急に目力が強い。多分同じことを思ったんだろう。
「ん〜でも、あたしの話は嫌味じゃない？ 悔しい思いしたなら咲和の方が聞きごたえあると思うけど」
「その発言が嫌味だわ。傷口抉るな。……まあ私が、こいつのせいで万年2位だった話はまた今度ね」
鈴子曰く、先生は総選挙におけるセンターを獲ったことが一度もない。それ本当だったんだ。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年10月22日 13時
