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今、ひとりで戦っている人は誰だ。裏切り者があんなことをするだろうか。身の安全が大事ならさっさと逃げればいい。それなのに……衰えない歌声、現在のメンバーも敵わないようなLASの操縦。かつてキラキラのステージで、真ん中で歌った者は泥臭く体を張っている。
メンバーにどれだけせめられても、失望されても。…………気づいているだろうか。美果子を悪く言ったり敵意の目を向けたのは卒業後に加入した者だけ。熱海星での撮影の際に眼鏡をかけていたとはいえ、佐江はすぐに気づけなかった。Aはファンだから分かったのだ。
もちろん簡単には許せないことをした。けれどツバサもたかみなも、才加、ゆいはんだって。この四人は表立って咎めない。ファン目線の『みぃちゃん』ではなく、かつて同じステージに立っていた『5代目峯岸みなみ』という仲間を見ているから。ステージ裏の彼女を知っているから。
「すごい……」
「うん……」
二番のサビが終わる。DESの攻撃を避けに避けて接近し、大きなミサイル攻撃は相殺。数的不利なんてものともしない。メンバーの口からはそれしか出てこない。その一言に尽きる。これより最上の表現は知らなかった。
…………しかし、調子が良かったのはここまで。やはり単騎で複数を相手にするのは無理があった。みぃちゃん機は燃料切れとなる。ギアハンドルを操作しても攻撃が出ない。曲も間奏部分。輝きは止み、キララの姿すら視認できなくなる。
『っ、ああっ……！』
『みぃちゃん！』
「あっ……！！」
攻撃が止まった隙にDESは攻撃。真正面からまともにくらってしまう。みぃちゃん機は大きく爆発。ツバサは大きな声で呼ぶけれど返事は来ず。凪沙たち研究生も、窓に手をついて行方を窺った。
爆煙からはLASの破片と機体が落下する。どうにか形は保っているようだが、もう操作はできないようだ。LASには脱出機能があるけれどそれには手を伸ばさない。……脱出してどうする。00は卒業し、大罪を侵した。ツバサは戻れと言うけれど自分にその敷居を跨ぐ資格なんてないんだ。
すぐ目の前にDESの無人戦闘機が迫る。銃口は真っ直ぐ彼女を向いていた。身動きが取れない、取らない。おそらく頭を撃ち抜かれて死ぬだろう。そのときが迫り、やっぱり恐怖したが一瞬だけ。それを受け入れた。
『みぃちゃん！！』
「くっ、アンコールもできずに……いつも中途半端。 …………でも、あたしには。これが、お似合い…………」
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年10月22日 13時
