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▼TAKAMINA
自分は00のキャプテン。5代目高橋みなみ。オリジナルの高橋みなみさんの志を継いだメンバーなんだ。メンバーを支え、同時に支えられて今日までやってこれた。優子という大事な仲間を失い、秋葉星を追い出されて……。
不安に苛まれるメンバーのために、たかみなとしてすべき行動。ある意味で枷なのかもしれない。こんなときに自分のことを優先させちゃいけない。メンバーをまとめる立場なのに勝手なことを言ったら、みんなはどうしたらいいか分からなくなっちゃう。
でも。ウチが「本当」を表に出せないのを、Aにはまた気づかれていた。蓋をして、見ないフリをしていた想い。
「総選挙後に言った勇気。今出さずにいつ出すんです？」
「…………あんたまさか、」
「そのまさかです。みぃちゃんのヲタク、舐めないでください。たかみなさんにとって、みぃちゃんは恩人のはずです。だって彼女がいなかったら、貴方は今ここにはいなかったかもしれない。恩を仇で返す気ですか？」
『嫌われる勇気を持って』。Aは疑わず、好きを伝え続けた。名前のない後輩にここまで言われては高橋みなみの名が廃る。あんたに助けられるのももう何回目だろう。
ウチも行く。多くのメンバーに背を向けて一歩を踏み出す。目指すは格納庫。先頭を走る咲和さんと、自分を導いてくれたA。二人の背中を見ながら全力で走る。
……みんなに嫌われたっていい。みぃちゃんが私に勇気をくれたから、00を続ける決意ができた。何にも自信を持てなかったのに、5代目たかみなという名前を襲名することができた。
「みぃちゃん……！」
あなたは、有沢栞をアイドルにしてくれた最初の人なの。
..
走り出したたかみなへ、反射的に手を伸ばす彼方。それは届かずに空を切る。その彼女の肩に手を置くのは才加だった。困惑に反して、才加は穏やかに笑う。
必死な戦闘に目を奪われ、多くのメンバーは三人がこの場からいなくなったことを知らずにいる。聞こえていたのは彼方や才加のほか、ゆいはん、ゆきりん、麻里子。
「たかみなは同期の中でも襲名が遅い方でさ。プラス、自分に自信が持てなくて。研究生のとき、辞めようと本気で考えていた時期があった」
「『嫌われる勇気』。それをくれたんが、みぃちゃんなんや。みぃちゃんが居てくれんかったら5代目たかみなは違う女やったかもしれん。あの子が襲名し、今ここにおるんは……」
みぃちゃんのおかげなんよ。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年10月22日 13時
