670# 大切なモノを護るため ページ20
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ツバサさんに訊かれたこともあり、彼女や凪沙たちがいなくなってからなんとなく携帯に電源を入れた。私たちはライブをしに行くわけじゃないのに遠征艇の中、しかも宇宙にいる。レッスンだと急かされることもない。普段は分刻みのスケジュールである襲名メンバーさえが時間を持て余すのは見慣れない、異様な現在。
小さなディスプレイを見てる間も、こちらに近づく足音が一人二人……何人も。一瞬目線をあげれば他のメンバーたちだった。まゆゆさんに佐江さん、梅ちゃんさん、ぱるるさん。それから少し遅れて才加さんとゆいはんさんも合流する。
ゆきりんさんたちが、さっき聞いた内容をもう一度説明しているのを聞きながら、私は片手をぽちぽち。…………あ？ SNSのアカウント、凍結されてるし。あることが過ぎって他の00メンバーのアカウントも検索してみた。だが思った通り、同じ。更にはスタッフである牛山先生や葵平先生のものも。
このタイミングで？ おかしい。DESがスパブロでもしまくったか？ 投稿も何もできなくなっている。私はSNSを閉じ、チャットアプリの方を開いた。咄嗟に亜杜に連絡したものの他の奴らには無言。返信は危険だからできないが、既読ぐらいならつけられるだろう。
梅「そっか……。みぃちゃん、センターノヴァの人たちを助けるために」
「本当かどうか、わかりません」
「たとえ本当だったにしても……！」
「……ええ。許されることではありませんね」
元メンバーで、元センターノヴァ。実際、本人は本当だったのか懐疑的だったけれども。今の襲名メンバーにとっては彼女は歴史に名前を連ねた偉大な人だった。羨望の眼差しを向けていた分、今回のことを簡単には許容できないらしい。
頼りにしてたのに。あんなに、素晴らしい人がなんで。過去の栄光までが、みぃちゃんに斬りかかった。…………たかみなさん？ そういえばさっきから、ただの一言も発していない。
才加さんとゆいはんさんも表情は暗い。けれど、今回の事を厳しく糾弾する姿勢の佐江さん、気を落とすぱるるさんたちではなく彼女を見つめていた。……もしかしたらお二人も知っているのかな？ だから、あの輪の中にいるたかみなさんが気になるのかな。
………そんなことを思った直後だった。赤色灯がまわり、緊急のサイレンが辺りに響いたのは。全員の思考がストップさせられる。私はすぐさま携帯をOFF。衣装の内ポケットにしまい、通信モニターの方を見た。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年10月22日 13時
