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すべては園智恵理をセンターノヴァにするため。ひときわ強い光を放つ存在に育て、利用するために。
彼はセンターノヴァを『世界を変える女神』と思っている。ゾディアックの後継者自らがソレになり、軍事的な有用性を示せば……。会社、さらには己の野望に役に立つと考えたのか。それはわからない。
0048裁判後の、智恵理の爆発的な人気っぷり。あの裏にはゾディアックが関わっていたことを凪沙はこの場で初めて知った。利用、その単語を信じられないというように繰り返す。
「たしかに……お父様が裏で手を回したことでファンが増えました。皆さんは私を応援したいと思ってくれて、選抜に入ることが出来ました」
『そうだろう？ 君がなりたいアイドルにまた近づいたんだ』
「裏でゾディアックが動いていたとしても、最後に選んだのはファンの人たち。そう思いました。……でも、あなたが私を応援して人気を上げたことで悔しい思いをした人がいる、悲しんだ人たちがいるのも事実です」
智恵理の口から出た、名前。凪沙の頭の中にその人物たちの顔が浮かぶ。あれもそれも……沢山。元は智恵理ではなく別のメンバーに来ていた仕事だと語る。Aのこともあり、ツバサさんに聞いたのだろうか。
投票期間中も、当日の会場でも。智恵理は、名前が呼ばれるまで戦っていた。自分の夢と引き換えにしてでも大好きな00を守ろうと思った。自分が身を置いているから不利益が降るのも事実だったから。
悩んだ。考えた。だが……それを、彼は理解できなかったらしい。自分の夢以上に大切なものがあるのかと。無言で映像を切り替えた。次に映ったのは、宇宙。それと……仲間が乗っている船だった。
「あぁっ……！」
「フライングゲット！」
『射手座星の防衛ライン……ギリギリまで接近し、待機している。今すぐDESに攻撃を要請することも可能だ』
智恵理の、仲間に対する思い。それらは全て……センターノヴァには必要ないとでもいうように。
天上天下唯我独尊。霞んでしまう者など気にする必要ない、構わなくていいとも聞こえた。発生にはキララとデュアリウムのみが深く関わるのだ。仲間の有無は条件にない。
さすがにこれは。智恵理は手をついて立ち上がる。
「やめて！ そんな必要ありません！ あなたの望みは私が叶えます！」
『……ほう？』
「私がセンターノヴァになってみせます！」
向こうは最初から話をする気はなかった。
選択肢は、ひとつだけ。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2024年3月16日 19時
