784 :♪RIVER ページ34
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本格的に動き出すとなれば休んでなんていられない。そもそもは牛山先生の負担を減らすために雇われた葵平先生や、私たちが目指す輝きをつかの間でも手に入れたみぃちゃん。更には。
歴代でも指折りのセンターノヴァだった13代目あっちゃんの光。それを誰よりも間近で見て、かつては彼女と共に行動していたツバサさんも。牛山先生だけではなく偉大な元メンバーが、襲名メンバーのレッスンを見ていた。……んだけど。
「ダメよ！！ もっとなりふり構わずに！」
ゆきりんさんたちの、見慣れた笑顔などは何処へやら。そこには必死な姿しかない。今まで良しとされていたレベルでは、今回の作戦を行うにあたっては全く駄目だと全否定するツバサさん。
ギンッて、目が怖い。気迫もあって。今は自分に言われたわけじゃないのに……胸の音がやけに大きく聞こえた。
「キララが全然輝いていないじゃない！ それじゃあ、デュアリウムを反応させることなんてできないわ！！」
いつもなら……「輝いている」と言えるのに。本業はダンサーである葵平先生にも、褒められるぐらいの踊りにもかかわらず。襲メンが及第点すら取れないんじゃ、研究生はダメダメかもしれない。
私たちだって厳しいことを言われてた。でも……目の前のダンスを見ていたら、ぬるま湯のように感じた。自分はまだ駄目だと思ってしまう。
もう何回目だっけ。ライブの尺とはいえ、依然OKは出ない。ライブの一曲目は劇場や遠征で踊り慣れたもの。しかし、ツバサさんからの指摘は止まることを知らなかった。
仮に、自分に言われたパターンを想像する。求められることを一生懸命してるつもりなのに、駄目だと言われる。頑張らなきゃ、もっとできるはず……その繰り返し。
「違う！」
「ツバサ！ ちょっと……」
私だって秋葉星を想っていたと思う……けど、足りなかった。ツバサさんの方が強い。……ううん、この場の誰も彼女には敵わない。
ヒートアップし、腕を振り下ろすツバサさん。熱くなりすぎだと牛山先生が肩に手を置くが、それには構わない。常に綺麗に着こなすジャケットの、お腹のボタンに手をかける。
締め付けが無くなれば脱いで捨ててしまう。反動で先生の手からも逃れた。思い通りにならない怒りで歯を食いしばりながら……先輩たちに一歩、二歩。首元のスカーフも床に落ちた。
「っ……もっと、やれるでしょう！？」
みんなが、ツバサさんのダンスから目を離せない。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2024年3月16日 19時
