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ゆっくり空を眺める余裕はなかった。けれど、護もこの空の色が気になっていたらしい。暗い暗い、赤。金属で言うと赤銅のような。
リーダー曰く「心理的に抑圧する色を選んでいるんだ」。秋葉星の地上は戦火によって何十年も前から廃墟となっている。現在は地下で、都市を築く。藍花星とは異なって空は人工的なもの。気象を管理するシステムで、普段は青空と白雲という『良い天気』を映しているとか。
だが……DES軍が蔓延る今は違う。秋葉星の人々がこれ以上芸能に惑わされないように、わざとこのような空にしているのか……。
「そんな……」
「だから大人も子どもも……あんなに生気のない目をして」
「DESの奴らも、なんてことっ……！」
「WOTAが侵入したぞー！」
！！
全然思ってもいない方角から、声。微かに緩んでいた空気が一気に引き締まる。嘘、見つかった！？ ここで戦闘になるのは不味い。あたしたちは木陰に顔をひっこめ、体を丸ごと隠した。…………足音が迫る。
気配が近い。指一本も動かせないほどの緊張感だった。駆けつけた兵は、あたしがいた木陰のすぐ手前で止まる。あそこには護たちが……！ DES兵は容赦なく発砲を開始。
そしたら……弾を避けるため、葵が木陰から体を露出してしまった。
「葵！」
「……護っ」
思わず声が出てしまう護。自分も彼につられて飛び出してしまう。
反射的に、あたしたちは銃を構えた。緊張が張りつめる。彼らは相手が子どもだろうと関係ない。WOTA相手に加減は一切しない奴らなんだ。すぐ目の前には……二人か。
人数は同じでも体の大きさや武器の扱いは向こうが上。気を抜いたら、殺される。引き金に指をかけた…………ら、敵のスーツに稲妻のような電気が巡った。え、何もしてないよ？ 倒れる彼らの背後から姿を現した人物に目を丸くする。
「ピンク色だったらラブリーなのに……って、思わなかった？」
手にはハートのステッキ、格好はジャージ。彼女は身動きの取れないDES兵に足をかけた。あたしの隣に並ぶ護も驚いて声が出ないみたい。
うん……そこには、00がいたんだ。WOTAなのにまた助けられてしまったらしい。今度は、襲名メンバーに。ピンチを救ってくれたのは8代目こじはるだった。
この状態と、突然の質問。その二つに対して、護は「……えっ？」。やっと発声ができた。葵も驚いて見上げる。ピンク色って、何が……？
「そ〜ら〜の〜い〜ろっ！」
こう言って、ウインクをした。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2024年3月16日 19時
